年度別チャレンジャー一覧

助成対象者のチャレンジ概要
中村 さつき
氏名
中村 さつき(なかむらさつき)
助成実績
海外留学生奨学金:第1期生
アメリカにおけるスポーツ選手をめぐる法的問題研究

以前より様々なスポーツと関わってきた中で、スポーツ選手の置かれている法律問題に興味を持ち、プロスポーツに関する法律問題を勉強するようになりました。主にプロスポーツにおける独占禁止法と労働法の関わりについて研究していますが、スポーツ法と呼ばれるこの領域は、まだまだ日本では未発達であり、研究が進むにつれ、スポーツ法の母国であるアメリカのロースクールでこの問題についてより深く勉強したいと思うようになり、今夏より米国のニューオーリンズにあるTulane大学のロースクールに留学し、上記の問題を中心に研究をしています。将来的にはスポーツ選手の代理人として活動したく、日本から海外に活躍の場を求める選手や、海外から日本に活動の拠点を移す選手の手助けができたらと思っていますが、それと同時に今の研究の中心である選手会の活動の手助けをしていきたいと思っています。近年日本でもプロ野球再編問題などで、チームと選手会が対立する場面を目にするようになりましたが、まだまだどのプロスポーツにおいても選手会がうまく機能しておらず、選手が団結してオーナーやリーグに対して権利を主張するという構図がしっかりと出来ていません。米国ではプロのチームに属する選手たちが、労働組合である選手会を通して自分たちの権利を勝ち取るために積極的に訴訟を行い、独占禁止法の適応を除外され、様々な権利を勝ち取ってきた歴史があります。フリーエージェント制度の導入などは、その代表例と言えます。日本で一番のメジャースポーツとされているプロ野球の憲法である日本プロ野球協定は、米国メジャーリーグ協約を手本にして作成されています。日本の独占禁止法や労働法の基本モデルも米国です。そのため、今後日本のプロスポーツ界でも、米国同様に選手が選手会を通して強く権利を主張することは十分に可能なことなのです。そのためにも、多数の先例がある米国で、プロスポーツに関する法律問題を学ぶことは、非常に有意義なものであると思っています。Tulane 大学では、スポーツ法を中心に、労働法、独占禁止法、契約法などの授業を履修し、レポートを完成させ、法学修士号を取得予定です。スポーツは人々を感動させ、頑張る活力を与えてくれるものです。法的環境が整えば、アスリートは競技に打ち込め、より多くの人々を感動させることができることと信じています。日本のプロスポーツ界も、米国のように積極的に団体交渉を行い、労使双方が理解しあった上で、より良い試合をファンに提供できるようになれば、スポーツ界の活性化に繋がると信じています。今回の留学を通し、スポーツ界での仕組みやスポーツに関する法律、特に労働法と独占禁止法に関わる問題を勉強することで、将来日本のスポーツ界を法的見地からサポートできるようになれたらなと願います。