年度別チャレンジャー一覧

助成対象者のチャレンジ概要
三谷 舜
氏名
三谷 舜(みたにしゅん)
助成実績
スポーツチャレンジ研究助成(奨励):第14期生
なぜ軟式スポーツは戦後日本において展開したのか?:スポーツ価値の多様性に関する文化社会学的研究

本研究では、軟式スポーツがグローカル文化として成長した発展過程を、戦後日本社会が持つメカニズムやダイナミズムと共に明らかにする。そのために、ブルデューの界概念を援用した文化社会学的理論枠組みより、用品製造業の潮流や、教育との結合、中央競技団体の動向などの軟式スポーツを巡る史資料を分析する。もって、スポーツ文化の多様な価値を享受したり、新たなスポーツ文化の誕生を読み解いたりする知見を生み出した い。

成果報告(2021年3月)

2020年度は、周知のようにCovid-19の影響により、スポーツの現場は停止し、インタビューはもちろん、文献調査もままならない状況となった。
 上半期はインターネットを通じた資料の収集が主な作業となった。その結果、副産物的ではあるものの、アーバンスポーツ版ベースボール型競技である「Baseball 5」を取り巻く政治や社会的な状況が明らかにできた。ここからは、軟式ボールが単なるスタータースポーツの用具にとどまらず、世界的に普及の可能性を有しているということが考えられる。
 下半期には、「軟式ボールが戦後日本の復興期において果たした役割とは何か」というテーマで研究し、用品製造業界紙の分析を行った。また、各中央競技団体機関紙や月刊マガジン系の資料を収集することを行った。これらの資料収集も、予定通りには遂行できず、遅れが生じてしまった。具体的な成果を出すことは次年度になってしまうが、必ず結実させたい。本来の計画では実施することになっていたインタビューは実施できなかったが、現場の方々とコンタクトを取る中ではなんとかスポーツを動かそうとする姿勢を受け取り、通常の状況では感じることのできない「スポーツの力」が感じられた。
 このような状況の中でも研究を止めることなく遂行できたのは、暖かく、質濃い支援を財団の皆さまにいただいたことが大きかった。お礼申し上げるとともに、更なる研究成果で恩返しをしたい。