年度別チャレンジャー一覧

助成対象者のチャレンジ概要
増田 一太
氏名
増田 一太(ますだかずと)
助成実績
スポーツチャレンジ研究助成(基本):第14期生
自転車ぺダリング動作における効率的なクランク長の考案

現在普及している自転車クランク長は長過ぎるため、過大な膝関節屈曲可動域を必要とする。これにより、大腿 四頭筋のアーム長は減少し、発揮する張力の増加や膝蓋大腿関節内圧を上昇させるため、非効率的かつ疼痛 を誘発させる可能性が高まる。そこで、ペダリング動作時の股関節・膝関節可動域、筋力、膝関節への圧縮力、 下肢長などを総合的に検討し、ペダリング動作における自転車クランク長の最適解を求めることとする。

成果報告(2021年3月)

自転車やエルゴメーターのペダリング動作は、トレーニングやリハビリテーションの現場で用いられる運動ツールである。しかし、正常膝関節屈曲可動域が130°であるのに対し、ペダリング動作では約120°必要とするため、膝関節構成体へは過負荷となる側面もある。そこで本研究は、ペダリング動作が効率的に実施できるクランク長を、膝関節角度と股・膝関節筋の筋活動の側面から検討することを目的とした。
 結果は、同等の負荷で実施したペダリング動作では、クランク長の増大とともに筋活動が増加し、クランク長の短縮とともに筋活動は減少する傾向を認めた。しかし、145㎜未満のクランク長では、これらの筋活動の関係性に限界があった。また、ペダリング動作に重要な大腿四頭筋の内、大腿直筋の筋活動は、クランクの短縮とともに低下し、内・外側広筋は大腿直筋よりも活動の減少幅が少なかった。ハムストリングスは、大腿直筋と同様の傾向にあった。
 これらから、長いクランク長では、高いトレーニング効果を期待でき、現行のクランク長(175㎜)よりも2-3㎝の短縮したクランク長は、膝関節角度や筋活動において効率的にペダリング動作が実施できる可能性が示唆された。また、クランク長の変化に伴い、大腿直筋と内・外側広筋とを区別し選択的にトレーニングできる可能性が示唆された。