年度別チャレンジャー一覧

助成対象者のチャレンジ概要
瀧 直也
氏名
瀧 直也(たきなおや)
助成実績
スポーツチャレンジ研究助成:第1期生
「チャレンジできる子どもを育てるための研究」~非日常の体験活動が子どもに及ぼす影響~

現在、青少年の社会的自立の遅れや社会的不適応の増加が問題視され、青少年の意欲や社会性を育む自然体験等の体験活動(非日常の体験活動)の充実が求められています。各地の青少年教育施設や民間団体等においては、それまでに増して体験活動を主とした事業に取り組み、その成果の多くが参加者の感想文やアンケート調査のまとめや考察、カウンセラー(リーダー)が見取った参加者の表情や態度の変容などの形で報告されています。しかし、前述のような方法では、どうしても主観的な見方が入ってしまったり、曖昧な部分が出てきてしまったりという理由から、非日常の体験活動が子どもたちに与える教育的効果を判断することは難しいと一般的に言われているのも事実です。また、非日常の体験活動の教育的効果は、ペーパーテスト等で測ることのできる「知識や理解」の部分(見える学力)よりも「思考や判断」「意欲や興味・関心」などの部分(見えない学力)が多いと言われており、その成果については必ずしも明確になっていないのが現状です。

昨今、学校教育において脳科学からのアプローチの事例が新聞などに取り上げられ、その成果が報告されてきました。今後、非日常の体験活動の教育的効果を脳科学からのアプローチにより科学的に明らかにする必要があると考えます。本研究は、「脳科学」と「生きる力」という二つの視点から事業等の成果を調査することにより、体験活動によって育まれる成果を、より確かなものにすることができると考えています。 当所で行う事業に参加する小・中学生を対象に、「IKR評定用紙(筑波大学の橘と信州大学の平野らが開発)」による「生きる力」の測定、「脳テスト」による「大脳の前頭前野の働き」について事前・事後の調査を行い、キャンプ等の体験活動が青少年に与える効果について研究を深めるとともに、事業等終了後に追跡調査を行うことで事業等が与えた影響の継続性や、日常生活への結びつけ方についても研究を深めていきたいと考えています。本研究は、キャンプ等の体験活動が子どものチャレンジする基礎となる力(「生きる力」や「前頭葉の力」)に及ぼす影響を明らかにし、チャレンジできる子どもを育てるプログラムやその有効性、日常生活への結びつけ方について活路を見出していくことを目的としています。