年度別チャレンジャー一覧

助成対象者のチャレンジ概要
犬走 渚
氏名
犬走 渚(いぬばしりなぎさ)
助成実績
スポーツチャレンジ研究助成(奨励):第18期生
行動科学と計算神経科学の融合的視点から手足の協調運動の制御メカニズムを解明する

本チャレンジの目的は、行動実験と数理モデルを用いたシミュレーションにより、脳が手足の協調運動をどのように制御するのかを明らかにすることである。
シミュレーション結果と行動実験結果を組み合わせることで、脳がどのような計算理論に基づいて手足の同時運動を生成するのかを解明する。

成果報告(2025年3月)

日常動作からスポーツ動作に至るまで、全身運動は上肢と下肢の動作を組み合わせることで実現されます。上肢は下肢よりも力学的に動かしやすく、日常生活で求められる役割も異なります。本チャレンジでは、こうした特性の違いを踏まえて、上・下肢の同時運動がどのように制御されるのかを解明することを目的としました。
参加者は、手と足を同時に動かすことで画面上のカーソルを目標位置まで移動させる運動を行いました。その結果、手と足の運動が時間的に協調して制御されることや、目標位置に応じて、手の動き出しや運動速度が調整されることが明らかになりました。この結果は、上・下肢同時運動において、両肢の動かしやすさの違い(運動開始の時間差)の影響を埋めるために、上肢が下肢に寄り添うようにして運動が調整されることを示しています。つまり、脳は、一緒に扱う体肢の情報を統合して、上・下肢の協調運動を達成することが示唆されました。