- 氏名
- 秤谷 名鷹（はかりやなだか）
- 助成実績
-
スポーツチャレンジ研究助成(基本)：第18期生
中枢神経系再編の機序解明：パラアスリートに着目して
パラアスリートは残された神経機能を最大限に生かし、健常者をも超える驚異的な身体能力を発揮する。
本チャレンジではバイオメカニクス的分析を用いた競技パフォーマンスの評価だけではなくMRI装置を用いた脳構造・神経回路の解析を行う。
従来のスポーツパフォーマンス計測の枠組みでは計ることのできないパラアスリートの運動制御の解明に挑戦する。成果報告（2025年3月）
ヒトの中枢神経系は、一度損傷されると損傷部位に応じて身体機能を損失する。近年の研究により、高強度の運動やトレーニングの継続によって脳機能が変化する可能性が報告されている。本チャレンジでは、残存機能を駆使してスポーツに取り組むパラアスリートをモチーフとして、競技パフォーマンスとその背景にある神経基盤を解明することを目指した。パラリンピックに出場経験のある選手を含めて座位競技8種目のバイオメカニクス計測、うち10名の頭部MRI計測を実施。一人の選手は競技開始前から縦断的な計測を実施しており、姿勢制御に関わる神経回路が変化していることが観察された。これは座位競技アスリート特有の可塑的変化である可能性があり、現在追加でデータ取得・解析を進めている。本チャレンジにより、神経構造の変化を定量する方法を確立できたため、今後は対照群との比較や身体機能との関連性を検討し、本研究をさらに深化させる所存である。