年度別チャレンジャー一覧

助成対象者のチャレンジ概要
萩生 翔大
氏名
萩生 翔大(はぎおしょうた)
助成実績
スポーツチャレンジ研究助成(基本):第18期生
最適制御に基づく上肢運動と立位姿勢制御の統合的理解 -全身動作の制御機序の解明を目指して-

スポーツ動作の多くは、全身を巧みに活用した動作である。
本研究では、最適制御モデルを用いた計算論的手法とヒトを対象とした行動学的・生理学的実験に基づいて、上肢の運動制御と姿勢制御を統合的に理解する枠組みを構築し、全身運動の制御機序を明らかにすることを目指す。

成果報告(2025年3月)

野球やテニスなどの多くのスポーツ動作は、上肢の運動と下肢の姿勢制御を伴う全身運動である。しかし、運動制御の基礎研究の多くは、上肢または下肢の単独運動を対象としており、上肢と下肢がどのように制御され、複雑な全身運動が生み出されるのかは十分に解明されていなかった。そこで、最適制御理論に基づき、上肢と下肢の運動の統合的な制御機序を理解するための枠組みを構築し、シミュレーションによる検証を行った。コンピュータ上で上肢・体幹部・下肢から成る多リンクモデルを用いたシミュレーションを実施し、立位状態で手を目標位置に到達させる運動や、手でボールを投げる運動を再現した。その結果、手に関する運動目標の情報のみを用いて、上肢の運動に加え、下肢の予測的な姿勢制御応答も同時に再現できることが示された。現在は、体格差や上肢・下肢の貢献度の違いを考慮し、個人差を踏まえた汎用的な全身運動の制御原理の解明を目指している。