年度別チャレンジャー一覧

助成対象者のチャレンジ概要
藤井 竜太郎
氏名
藤井 竜太郎(ふじいりゅうたろう)
助成実績
スポーツチャレンジ研究助成:第1期生
fMRIでの脳活動計測による口腔機能と身体運動機能との関係解明

近年、スポーツ医学の発展と共に歯科の分野でも顎口腔機能と身体運動機能との関連性について関心が寄せられてきています。特にスポーツ歯科においてよく知られていることとしてマウスガードがあげられるかと思いますが、マウスガードの使用目的には大きく分けてスポーツ時の外傷の予防、そして噛みしめによる運動パフォーマンス向上の2つがあげられます。またヒトは実際に運動を発現する前にシミュレートすることができ、それは一般的に運動イメージと言われておりスポーツトレーニングでも盛んに行われています。最近のマウスガードの使用による運動パフォーマンスの向上については多くの研究がされており、噛みしめによる効果については明らかにされつつありますが、脳活動にどのような影響を及ぼしているか調べた研究はなされていません。そこで今研究では噛みしめによる運動パフォーマンス向上効果を、fMRIを用い運動イメージを利用することにより解明することを目的としました。実際の研究方法としては、まず被験運動としては北海道で最も盛んに行われているスポーツの1つであるアイスホッケーとし、また被験者はアイスホッケーの経験者としました。被験者にはアイスホッケーのシュートを噛みしめている時と噛みしめていない時の2通り行ってもらい、動作解析装置を用いてスイングスピードやフォームを測定します。次にfMRIを用いて被験者に噛みしめている時と噛みしめていない時のシュートの運動イメージをしてもらい、それぞれの脳活動を撮影します。以上の結果から、噛みしめによって運動パフォーマンスが向上した被験者としなかった被験者で脳活動にどのような違いがあったかを比較検討し、運動中の噛みしめるという行為が運動パフォーマンスに影響する原因を脳科学的に検証します。本研究は、スポーツ歯学分野における学問的な確立、普及のためには必須であり、またスポーツ選手への競技能力向上のためのアドバイスに関してもより説得力のあるものとなると考えています。さらに口腔とは現在まで直接関係ないと考えられてきた身体運動機能にも口腔機能が影響を及ぼしていることについての脳科学的根拠に基づいた証明は、超高齢化社会を迎えている今日において顎口腔機能の健康の重要性を広く一般の方々に知ってもらえるためにも有効であると考えています。