クローズアップレポート

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山本 篤
氏名山本 篤
競技名陸上(障がい者スポーツ)/選手

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北京パラリンピック出場と、その先にあるもの
~世界ランカーに成長した期待のアスリートの新たな挑戦~

たった一つのことを思い続けて過ごす日々。それが4年もの月日となれば、中途半端な気持ちでは信念を維持することさえ難しい。 陸上100mと走幅跳の2種目で2008年北京パラリンピックへの出場をめざす山本篤さんは、両競技において世界ランキング上位に名を連ねる実力者だ。A標準記録もすでにクリアしており、来春発表される北京パラリンピックの出場もほぼ確実なものとしている。

しかし、それでも山本さんの目標は「パラリンピック出場」という原点からブレることはない。この数年で大きく成長した山本さんの頭にはその先の目標も描けてはいるが、アテネをめざしていた4年前に味わった気持ちがすべての原動力であったことを、本人が強く認識しているからだ。

山本さんが100mでA標準記録の壁を乗り越えたのは、アテネオリンピック代表選考が締め切られたわずか2か月後のことだった。長く目標としていた標準記録を破った喜びよりも、目の前で飛行機が飛んでしまったショックのほうが大きかった。100m、そして走幅跳の両競技で山本さんの記録が飛躍的に伸び始めたのはその直後からだ。次のパラリンピックこそ、という強い思いが山本さんを世界レベルのアスリートに育てていった。

とりわけ今年に入ってからの記録の更新は驚異的だ。たとえば走幅跳。それまで自身が持っていた日本記録5m48cmを5月の『大分陸上2007』で更新すると、その2か月後には『第18回日本身体障害者陸上競技選手権大会』で5m88cmを跳んで関係者はもちろん自分自身さえ驚かせた。今年に入ってからの記録の伸びを振り返れば、自分のアスリートとしての潜在能力や、大腿義足そのものが持つ陸上競技の限界に底の見えない可能性のふくらみを感じることができる。

5月にはイギリスで開催された『パラリンピックワールドカップ2007』に出場し、100mと200mの両種目で銅メダルを獲得した。また、6月にはフランスとドイツで開催されるレースに出場するなど、国際大会での経験を意識的に積み上げようとしている。目標を聞けばあくまでも「北京に出場すること」と答える山本さんだが、その視線はもっともっと遠くを見ているのは間違いない。

大阪でのレースを終えて、「100mは12秒台を出したかった。後半に腰が流れてしまっているのが自分でもわかった。まだまだ克服しなくちゃならない課題がたくさんあります」と語った山本さん。走幅跳で踏み切りの足を健足から義足に変えて大幅に記録を伸ばした探究心は、いま12秒台という未知の世界へと向けられている。



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