クローズアップレポート

副島 正純

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副島 正純

陸上(障がい者スポーツ)/選手


ロンドンパラリンピックの出場権を獲得
~「集大成」と位置づける今大会で、金メダルに挑む!~

「悔しさしか残っていない」過去2回のパラリンピック

「君が代は小学生の頃から何度も聴いてきましたし、大きな声で歌ってもきました。でも、海の向こうで耳にするそれはまったく違う、本当に特別なものなんです。2007年のボストンマラソンで優勝してあの町に君が代が流れた時の感動や昂揚感を、今度はロンドンで噛みしめたい」 

副島選手は、42歳で迎えるロンドンパラリンピックを「陸上選手としては一つの区切り」と位置づけています。また、車いすマラソンに打ち込んだ約12年間の「集大成でもある」と話します。2004年アテネ大会、2008年北京大会、そして2012年ロンドン大会と3大会連続のパラリンピック出場を決め、1月中旬から地元・福岡で本格的なトレーニングを再開した副島選手を訪ねました。

「正直なところ、アテネも北京も僕にとって良い思い出はありません。アテネはまさに出場しただけの大会。4×400mリレーでは銅メダルを獲得して大喜びもしましたが、コーチの間で“副島は力が劣る。決勝はメンバーを入れ替えよう”と話し合われていたことを帰国後に知って、悔しさだけが残ってしまいました。ならば個人でメダルを獲れる選手になろうと挑んだ北京でも、最後まで走り切れなかったことで(トラックに入る直前で転倒)これも残ったのは悔しさだけでしたね」

今年8月末に開幕するロンドンパラリンピックで、車いすマラソンが行われるのは最終日の9月9日。バッキンガム宮殿を正面に見据える特設スタジアムに真っ先に飛び込んでくる先頭集団は、世界記録保持者のハインツ・フライ選手(スイス)、攻めのレースを得意とするエレンスト・ヴァン・ダイク選手(南アフリカ)、若手No.1のマルセル・フグ選手(スイス)、巧妙なレース運びに定評のあるデビッド・ウィアー選手(イギリス)とクート・フェンディ選手(オーストラリア)、これに日本の副島選手、樋口政幸選手らを加えて構成されるものと予想されています。

「その先頭に自分がいること、これは何があっても譲れないポイントだと考えています。ロンドンは12kmの大きなループを3周、そしてバッキンガム宮殿の周囲を1周する周回型のコース。コーナーの多さを考えると、集団の後方に控えるのはリスクが大きい。とにかく攻めて攻めて自分がレース全体をコントロールする。そうした展開をイメージすると、必然的に瞬発力の積み上げが大きなテーマとなってきます。ですから今年は身体づくりについても、これまでとは違うチャレンジをしているんです」

ゴールテープを切る瞬間に「メッセージを込めたい」

ベテラン選手の域に達した副島選手は、「やればやるだけの結果を求め、またその結果も出せた30代とはやはり違う」と話します。「2日頑張って、あともう1日頑張ってしまうと4日目がなくなってしまう自分」も素直に認め始めているそうです。「心があって体がある。ただ、その体の中に心があるということを理解してリズムを作る、自分の意志で制御する」ということを強く意識するようになりました。

もちろん集大成として挑む2012年も、2月の東京マラソン、4月のボストンマラソンとロンドンマラソン、そしてトラック競技の出場権が懸かった6月の日本選手権と2か月サイクルのリズムを刻み、その間に石垣島や北海道での合宿を組み入れながらパラリンピックを迎える計画です。出場レース数を抑えつつこうしてポイントとなる大会に出場することで、緊張感を分散するという狙いもあるそうです。

「昨年の震災は、アスリートとしても一人の人間としても、僕の中で非常に大きな出来事でした。いろいろなことを考える契機となりましたが、たとえば、それまでレースで得た賞金は次のレースのために使うというスタイルで僕は競技を継続してきたのですが、その使い途についても今後はゆっくり模索していきたいと思っています。何十人、何百人という人の役には立てないかもしれないけど、目の前にいる人を笑顔にすることなら僕にもできる。そう考えています」

これまでの競技人生のすべてを賭ける9月9日のレース。特設スタジアムに先頭で飛び込んできた副島選手が最後の力を振り絞り、熾烈なスパート争いを制してゴールテープを切る――。「その瞬間をはっきりイメージすることができる」という副島選手は、「見てくれている人々、これまで支えてくれた人々に伝えたいことがある。それをその瞬間に表現したい」と力強く語ってくれました。



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