スポーツチャレンジ賞
「4年に一度じゃない、一生に一度だ」吉谷吾郎
吉谷吾郎

スクラムユニゾン4人目のメンバーとして廣瀬が声をかけたのは、コピーライターの吉谷吾郎だ。
二人は、廣瀬が引退後に出版した『なんのために勝つのか。』という本の制作を通じて知り合った。吉谷自身も元ラグビープレーヤーで、高校時代は東京都の選抜チームに招集されるほどの選手だった。
「早稲田大学ラグビー部に入部したんですが、そこで心が折れましたね。この世界にはとんでもない選手がいくらでもいるんですよ。今回のワールドカップで活躍した山中亮平も同期の一人です。どうやったってかなわない。なんかラグビーに対する興味も失って、ふてくされて部室でギターとか弾いてましたから

吉谷が手がけたラグビーワールドカップ2019公式告知ポスター
大学卒業後も、吉谷はラグビーエリートたちとの関わりを避けようと、大企業への道は選択せず、小さな広告会社でコピーライターを目指すことにした。
しかしながら、もう関わらないと決めたラグビーのおかげで、吉谷は己の才能を世に示す機会を与えられる。
文化系のコピーライターが多い中、一流の大学ラグビー部出身だった吉谷はクライアントの目を引き、普通なら任せてもらえないようなラグビー関係の仕事が入り始めた。
「4年に一度じゃない。一生に一度だ。
ワールドカップ期間中誰もが目にしたあの有名なコピーは、吉谷の手によるものだ。

スクラムユニゾンのロゴも吉谷自らが制作した
「トシさんから話を聞いて、僕が最初にイメージしたのはウィキペディアです。スクラムユニゾンという項目ができて、そこに、みんなで国歌を歌ってもてなすこと、みたいな説明が出てくる、みたいな」
吉谷はチームのクリエイティブディレクターの役目を担うことになった。
もうラグビーなんか関わりたくないや、と言い捨てた若者は、またしてもどっぷりとラグビーの世界に浸ることになる。
<次のページへ続く>
「スポーツチャレンジ賞」トップにもどる