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第12回 奨励賞 Scrum Unison (スクラムユニゾン)

第12回 奨励賞 Scrum Unison (スクラムユニゾン)

ラグビーワールドカップ日本大会にて世界から集まる選手やファンを「国歌やラグビーアンセム」を歌って“おもてなし”

「アジア初のラグビーワールドカップ。何か今までにないことを仕掛けたい!」と悶々としていたと言うのは、元ラグビー日本代表キャプテンでラグビーワールドカップ2019アンバサダーを務めたスクラムユニゾン代表の廣瀬俊朗さん。

「ある朝突然、“そうだ!みんなで国歌を歌ってはどうだろう”と思い立ったんです。日本代表の主将時代、チームの一体感醸成のため、みんなで君が代を練習し試合前に歌って奮い立ったこと、また海外のスタジアムでは観客が代表チームと一緒にアンセムを大合唱していたことなど、実体験がベースにあった」と振り返る。

早速、廣瀬さんは知り合いで音楽エンターテイメント集団「カルナバケーション」のボーカルを務める村田匠さんとJ SPORTS ラグビー中継のエンディング曲を歌う歌手の田中美里さんに声をかけた。村田さんは、廣瀬さんの慶應義塾大学ラグビー部後輩のお兄さん、田中さんは、お父さんが同じくラグビー部の先輩だった。さらに「4年に一度じゃない。一生に一度だ。」のラグビーワールドカップ公式キャッチコピーを生んだ、元早稲田大学ラグビー部のコピーライター吉谷吾郎さんが合流した。「ラグビーの価値観を分かりあえる仲間と組みたかった」との言葉通り、廣瀬さんの情熱に共鳴するラグビーつながりのメンバーが集まった。

そこに田中さんの紹介で橘田智緒さんと丸岡知恵さんの映像チームが、さらにプロモーションやマネージメント業に長けた北川茉以子さんが加わり、早速、活動の肝となる出場チームの国歌・アンセムを歌った動画作成に着手。歌詞は現地語表記に加え、読み方をカタカナで振り、さらに和訳も添えて覚えやすくした。「楽曲から翻訳作業に歌唱指導方法など、歌に関する全ては、匠さんに一任。匠さんつながりで、本当にたくさんの方にサポートいただいた」と廣瀬さん。さらに音楽家として村田さんのこだわりもあり、発音や表記の細かい違いはジャパンラグビートップリーグの外国人選手や監督に確認するほどの徹底ぶり。

2019年2月に始動し、5月のスクラムユニゾンお披露目会以降、日本ラグビーフットボール協会始め、キャンプ地やスタジアムのある自治体、小学校への働きかけなども奏功し、活動は驚異的なスピードで各地に広まった。キャンプ地の市民が練習に訪れたチームをアンセムで歓迎したり、マスコットキッズが試合前に選手たちと一緒に国歌斉唱したり。なかにはキャンプ地でもなく近くにスタジアムもないのにワールドカップを盛り上げたいと、介護施設などでパブリックビューイングしながらスクラムユニゾンの活動を行った有志の方も。歌でつながり一体感で包まれる各地の様子は、SNS等で拡散され、世界中で大きな話題となった。

活動を振り返り廣瀬さんは「予想以上に大成功(笑)。ラグビーならではの競技性もありますが、まず仲間の6人がとにかくがんばった。大会期間中、匠さんや美里さんは時間を見つけては積極的にスタジアムに足を運び、会場周辺やスタンドでゲリラ的にスクラムユニゾンしてくれました。また僕らに賛同してくれた自治体や団体のみなさんが、現地で歌詞カードを配布するなど、ぐいぐい行動してくれたおかげです。そして何より子どもたちに広まったことが大きい。国歌を歌えば、その国の歴史や文化を知るきっかけになる、これから世界で羽ばたく子どもたちが国際交流できる機会になればとの想いが実りました。2023年フランス大会も視野に、東京2020では少なくとも7人制ラグビーと車いすラグビーの応援で、また来年のワールドマスターズゲームズ2021関西でも、スクラムユニゾンをもっともっと広げていきますよ」と目を輝かせた。

Scrum Unison (スクラムユニゾン)
第12回 奨励賞 Scrum Unison (スクラムユニゾン)
廣瀬 俊朗(ひろせ としあきスクラムユニゾン代表・元ラグビー日本代表キャプテン
村田 匠(むらた たくみ音楽家・カルナバケーション
田中 美里(たなか みりシンガー
吉谷 吾郎(よしたに ごろうコピーライター
橘田 智緒(きつた ともお映像ディレクター
丸岡 知恵(まるおか ちえ映像アシスタント
北川 茉以子(きたがわ まいこ事務局

ラグビーワールドカップ2019出場チームの「国歌/ラグビーアンセム(応援歌)」を歌って選手やファンをおもてなししようという取り組み。「10ヵ国語。話せなくても、歌うことはできる。」のキャッチコピーの下、多くの人が歌いやすいよう、歌詞に読み方を振り、日本語訳もつけたレクチャー動画を作成。さらにキャンプ地やスタジアムなどにて実際に歌い方を指南し、観客と肩を組んで共に歌い、活動の輪を広げた。