ジュニアヨットスクール葉山では、7月20日(日)、スクール生とその保護者を対象に5回目となる水辺体験学習「水辺の安全講習会」を開催しました。この体験型の講習会は、水辺に親しみながら安全確保の知識や技術を身につける海洋教育の一環として行うもので、毎年、夏休みのはじめに実施しています。今年も特定非営利法人日本ライフセービング協会のインストラクターの指導のもと、水難事故防止を目的とした座学と実技講習を通じて「自分を守る(大切にする)」「仲間を守る(大切にする)」「自然に親しむ(大切にする)」知識と技術を養いました。
森戸海岸で行われた実技講習では、二人一組でバディ(水辺活動を行う際の仲間・相棒)を組み、JLAアカデミー※「ライフセービングサポーター講習会」のプログラムに則った指導が行われました。波間を早く走るためのウェーディング、波間をくぐり抜けるドルフィニングといった水辺で役立つ基本動作のトレーニングに加え、これまでも繰り返し練習してきた背浮きや、体力の低下を防ぎながら集団で救助を待つためのヘルプポジションなどをおさらいしました。また、ニッパーボードやレスキューチューブといったレスキュー機材の正しい扱い方を学ぶとともに、二次災害の怖さを知り、「小中学生は自分で水難救助を行わない」、「浮くものを探して投げる」、「大人を呼びに行く」といった実際に事故に遭遇した場合の行動についても徹底しました。
また、午後からの座学講習では、心肺蘇生(CPR)の手順やAEDの取り扱い方法、また怪我や熱中症の予防対策や、万一それらを引き起こしてしまった場合の応急処置等について学び、全プログラムの修了後には、日本ライフセービング協会から「ライフセービングサポーター講習会」の修了証が一人ひとりに手渡されました。
今回の講習会に参加したのは、15名のスクール生とその保護者。すでに複数回の講習を経験している高学年の生徒は、「水辺だけでなく、町の中でも具合の悪そうな人を見かけたら声をかける勇気を持とうと思った」、「毎年教えてもらっても1年経つと忘れてしまっていることが多いので、今年の夏も事故に気をつけて過ごしたい」という声が聞かれたほか、初めて参加した低学年の生徒も「(ライフセーバーが使う)ニッパーボードに乗れて楽しかった」、「自分も友だちも大切にしようと思った」と話し、水辺に出かける機会が多くなるこれからのシーズンに向けて有意義な一日を過ごしました。
※JLAアカデミー= 日本ライフセービング協会が行う国内唯一のライフセービング教育機関。「ライフセービングサポーター講習会」は、ライフセービングへの理解を深めながらBLS(一時救命処置)を学ぶ体験プログラム。
「自分で考え、仲間と相談し、行動する。レベルの高い講習会になりました」
日本ライフセービング協会 藤井正弘さん
「この講習会には毎年参加している子どもたちもいて、私たちの話を集中して聞けていると感じました。初めての生徒は“覚える”、すでに学んだことのある生徒は“磨く・高める”という姿勢で受講してもらえたと思います。講習は反応を見ながら進めていくのですが、今回は子どもたちが興味を抱きながら聞けていたので、実践的な部分にまで話を進めることができました。また、普段から集団でヨットの練習をしているからなのか、ひと言アドバイスした後は自分たちで考え、相談し、行動に移すということができていたように思います。何をすべきか、どうすべきかを子どもたち自身で決めさせるのは非常にレベルの高いことなのですが、今日は私たちから答えを与えなくても、考え、行動するということができていました。今日も上級生がリーダー役を担っていましたが、こうしたクラブの中に一人でもライフセービングの資格を持ったリーダーが生まれると、日常の練習からさらに安全意識を高めていけるようになると思います」