ジュニアヨットスクール葉山

セーリングスポーツを通して子どもたちの成長を
 2012年8月24日

大自然の中で自分たちの役割を果たした外洋帆走訓練

ジュニアヨットスクール葉山では、8月24日(金)から8月26日(日)にかけて今年で3回目となる葉山から伊豆大島への「外洋帆走訓練」を実施しました。今回の訓練は、全般を通して弱風で、機帆走(エンジンとセールの併用)の時間が長い航海となりました。それでも天候には恵まれ、ときおり吹き出す南風に合わせて帆走しながら、スクール生たちは各々に与えられた役割を果たし、壮大な海を舞台に普段のトレーニングとは異なる貴重な体験を得ることができました。さらに2泊3日の共同生活を通して、上級生はしっかりとリーダーシップを発揮し、下級生にはチームクルーとして一生懸命役割を果たそうとする姿が随所に見られ、全員が力を合わせて目標を成し遂げることができました。

大自然の中で自分たちの役割を果たした外洋帆走訓練

夏休みも終わりに近づいた8月24日の朝、13名のスクール生たちが伊豆大島への「外洋帆走訓練」のスタート地となる葉山マリーナに集まってきました。今年で3回目となる訓練ですが、今回が初めての参加となる生徒もいます。それでも、すでにこの航海を体験してきた先輩たちを頼りにしているのか、その表情には心なしか余裕が見られます。

ミーティングを終え、いよいよ出港。お互いに手伝いながら荷物をヨットのキャビンに積み込むと舫を解き、一路、大島を目指してメインセールを上げました。

スクール生たちが乗り込んだのは「牛若丸」(加藤幸男オーナー/艇長)と「アルページュ」(川原英司オーナー/伊東淳一艇長)の2隻のセーリングクルーザー。これにサポートボートとしてパワーボートの「フィアンコ」(島田潔オーナー)が加わり、3隻で約26マイル(48km)離れた大島を往復しました。また、今年は2日目に大島から約18マイル南に位置する利島への日帰りクルージングを実施。各自が目的意識を持ちながら、「海漬け」の3日間を楽しみました。

海象は寒冷前線の影響を受けた昨年とはうって変わり、今年は終始穏やかでした。3年連続で同じコースを訓練していますが、こうした天候や風、海象の違いはもちろんのこと、初めて体験した時に最年少だった生徒は、今回は自分を頼る下級生が存在することなど、環境は毎回異なっています。そして、航行中の生徒たちからは、風や波の変化を意識し、仲間を気遣うなど成長が見て取れます。

満天の星空のもとで行われた天体観察、バーベキューや短い時間を惜しんで楽しんだ海水浴や磯遊びなど、生徒たちは離島での夏休みを大いに満喫しましたが、そうしたなかにも、随所に安全意識と仲間意識を持ち続けて行動している姿が見受けられました。特に最上級生(中学2年生)として参加している2名のチームリーダーは「しっかり下級生の面倒を見られたか」といった会話をかわし互いに点検しあうなど、リーダーとしての自覚が確実に育まれています。

最終日の8月26日、3日間の外洋帆走訓練を終え、葉山に帰港した生徒たちからは「船の上でみんな声が小さい。もっと大きな声で指示を出し合わないと危ない」「デッキの上で寝てしまった。もっと集中力を高めたい」「夜、騒ぎすぎちゃった。うるさかった」と、年齢や立場によって視点や言葉は異なるものの、しっかりと3日間の振り返りを行っていました。

また、スクール生たちをクルーとして受け入れてくださった艇長たちからは「3年間、毎回参加してきましたが、一人一人の子どもたちの変化、成長が見られるのが楽しみ。集中力が高まってきたし、高度な動作もできるようになってきて頼もしいです。この体験は天候に左右される側面がありますが、子どもたちがそうした自然の変化をどう受け止めるかも大切なことだと思います」(加藤幸男さん) 「私は初めて参加しましたが、想像していた以上に子どもたちは根性があるなあと感心しました。風が無くて緊張感がなくなりそうな時もありましたが、最後までみんな頑張っていたのが印象的でした」(伊東淳一さん)といった声が聞かれました。

海の壮大さ、ときに怖さを知り、気象や海象の変化について学び、集団生活や野外活動を通じて協調性やリーダーシップを身に付けることを目的とした「外洋帆走訓練」は来年以降も継続して実施する予定です。