ジュニアヨットスクール葉山では、5月1日(日)、スクール開講中の地震や津波等に備えてスクール生と指導者による避難訓練を実施しました。
今回の訓練では、練習会場である葉山マリーナ桟橋に帰港してから、葉山町が指定する緊急避難場所への移動方法と所要時間を検証するとともに、地震の発生から30分以内に避難を完了するためのトレーニングを行いました。
また今後は、海上練習中に地震・津波警報が発令されたことを想定し、海上でのアンカーリングと救助艇での避難、艇を放棄して避難する方法等の海上シミュレーションを実施することで、非常時にスクール生や指導者が冷静かつ適切な指示・判断を行い、速やかな避難を行うための訓練を繰り返し実施する予定です。
避難訓練の目的
- 非常(地震・津波)の際に落ち着いて行動し、敏速に避難できる能力と知識を養う。
- 生命、身体の安全を図ることの大切さを理解させ、機敏な行動がとれるようにする。
- 常に災害予防に対する心構えを持たせる
桟橋に戻ったらまず整列して点呼を取り、仲間が全員揃っているかの確認を行います。ここでは現職の学校副校長として、避難訓練の豊富な指導実績を持つ湯原ヘッドコーチからわかりやすい説明があり、上級生がリーダーとなって下級生をまとめることの重要性を学びました。
桟橋から葉山マリーナ正面玄関前を通過し、移動時間を計測しながら避難場所をめざしました。コーチを先頭に女子生徒、低学年男子、最後尾にリーダー(高学年)がまとめ役となって続きます。また、女子コーチは救急セットの医薬品等が揃っているかを常時点検し、避難時には救急セットを持参することも確認しました。
避難ルートである公道では、避難する人々や車輌でパニックとなることも予想されます。間隔を狭め、一列に並んで真剣に取り組みました。「おさない」「かけない」「しゃべらない」「もどらない」「ちかよらない」の避難時の鉄則を守りながら行動しました。
緊急避難場所に到着。マリーナからの所要移動時間は12分でした。第一波の津波
が押し寄せるまで30分と想定した場合、海上からの退避を考えると、もう少し早足での避難が必要であることがわかりました。また、避難場所到着から屋上に上がるまでの時間を加味すると、移動方法にも改善が必要なことがわかりました。
総括
セーリングの指導と同様、避難訓練も子どもたちには言葉での説明より実際に体験し、体で理解させることが大切です。今回は、なぜこのような訓練が必要なのかをしっかり説明し、また大震災後の記憶が新しいこの時期に実施したことで、子どもたちが前向きに取り組んだことで大きな成果を挙げることができました。また、さまざまなシミュレーションを行うことで、私ども運営側にとっても改善点を見つけることができました。今後もこうした訓練を繰り返し行い、スクール生の安全確保に努めるとともに、保護者の皆様にも安心していただける環境をつくってまいりたいと考えています。
この避難訓練を終えたゴールデンウィークの終盤に、当財団の提携スクールである「いわきジュニアヨットクラブ」を訪ね、津波の被害に遭ったディンギーの片付け等を手伝ってきました。練習に使うマリーナ、近隣の小名浜漁港、海岸沿いの住宅地も壊滅的な被害を受け、津波の破壊力をこの目で確認してきました。今回の自然災害を教訓に、ジュニア、ユースそして多くのセイラーにとっても、しっかりとした自然災害の回避能力と知識を持つことが大切と痛感しました。