中間報告会

半期の活動発表、人材交流と学びの場
 2015年10月9日

平成27年度 第9期生スポーツチャレンジ助成 第3回中間報告会を実施しました

平成27年度 第9期生スポーツチャレンジ助成 第3回中間報告会を実施しました

10月9日(金)、大手町ファーストスクエア カンファレンス(東京都)にて平成27年度 第3回目の中間報告会を実施しました。体験チャレンジャーの芦田創さん(陸上・障がい者スポーツ/選手)と菊池萌水さん(スケート・ショートトラック/選手)、研究チャレンジャーの江間 諒一さん、藤林 献明さんに加え、海外留学生の関口 泰樹さんと向井 薫さんが米国からインターネット・ビデオ通話で参加しました。「チャレンジと環境について考える」のテーマで行った報告会後の座談会には、関口さんと向井さんも引き続き参加し、英語も交えて活発な意見交換が行われました。






参加いただいた審査委員

浅見俊雄審査委員長、伊坂忠夫審査委員、遠藤保子審査委員、川上泰雄審査委員、北川薫審査委員、定本朋子審査委員(五十音順)


芦田 創さん(陸上・障害者スポーツ/選手)

昨年は400m走もやっていたが、今年は競技種目を絞り、幅跳と3段跳びに注力している。幅跳びは昨年の5m96から6m57へと伸ばして世界ランクは7位、3段跳では13m67から79へと伸ばすことができ世界ランク3位となっており世界の上位者と争えるレベルとなった。この5月はスイス・ドイツでの国際試合に参加するなど経験を積んだが、出場するたびに記録更新ができた。今は心・技・体が「ハマってきている」感覚である。怪我が多いことなので、怪我のないようフィジカル面の強化に注力することが課題だ。これまでは大学(早稲田)の同好会に所属していたが、今年から競走部に入部。トップレベルの選手に囲まれ刺激を受け、環境も恵まれているので地に足をつけて練習している。リオでは3段跳の競技がなく、幅跳だけの参加となるがメダル獲得にむけて練習量を増し、スピードとバネを強化していく。

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江間 諒一さん(研究)

二関節筋を鍛えることはスポーツパフォーマンス向上に繋がると期待されている。どんなトレーニングが効果的なのかを、運動の動作に着目して調べているが、そのメカニズムを明かにするため選んだひとつの手法が、筋肉に機械的振動刺激を与え影響を調べるものだ。頂いた予算の中で機材を確保し、センサーを取り付け、①筋肉を押す張力、②振動の幅、③頻度、という3ポイントを測定している。色々な条件でパラメータを変化させる検討も行った。夏休みの間に機材の不具合があり進捗が遅れたが、予備実験を経て本実験のプロトコルがほぼ固まった。これまでの遅れを取り戻すべく10月からは成人15名を被験者に本実験を進めていく予定である。

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菊池 萌水さん(スケート・ショートトラック/体験)

4〜6月は体力と基本技術の向上、7〜9月はトップスピードと持久力向上を狙った。7月末から1ヵ月は、多くのメダリストを輩出している国立韓国体育大学での合宿に参加、チームの技術を学んだ。氷上練習は1日2時間を2回、リンクは世界水準60センチ幅の防護マットが完備されており、スピードアップの練習にとって好環境で、よい体験となった。三面鏡張りの施設もあり正面・左右の姿を確認できた。今年はまた、カーブで身体が倒れたときでも安定して滑走できるよう、女子では珍しい長めのブレードを使っている。韓国ではブレード研磨の作業を行い、同時にスピード向上の練習を行うことで相乗効果があったと実感した。非公式ながら8秒9の従来タイムから8秒8まで詰めることが出来た。それだけGがかかるが、そこから抜いていく技術を、平昌五輪に向けて磨いていく。

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藤林 献明さん(研究)

2020東京五輪を目指す2名のトップアスリート(男子3段跳でメダル獲得目標)の支援型研究を「実験・研究系」「実践系」の両面から進めている。実験・研究系では4~6月に測定した選手の跳躍動作におけるバイオメカニクスデーターを、水平減速と鉛直速度の関係で分析。そこから「未来型3段跳」の新しい知見として、①身体を少し柔らかいバネのように使う、②跳躍方向を少し遊脚側に向ける、というポイントを得た。シーズン終了後に再度跳躍動作を測定し、パフォーマンス変化と踏切動作の変化に着目することで、異なる視点から「未来型三段跳」を探る。実践系ではアスリートの持ち味を活かし、スプリント能力、遊脚タイミング、コンパクト四肢動作などをポイントに7〜9月からの継続課題に取り組んでいきたい。

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関口 泰樹さん(海外留学生)

米アーカンソー大学大学院で、運動生理学・バイオメカニクスなどを専攻しながらNSCAでのインターシップを体験して、バックグラウンドを広げている。現場では多くの実例に興味をもった。例えば、試合・練習後のクールダウンが常識の日本に較べ、これを重要視しない米国のアスリートたち。吊り輪のようなものを使い手や足でぶら下がり柔軟性・バランス感覚を養う「サスペンショントレーニング」の高い注目度。速く走るための基本をジュニア時代から会得しておけば、将来において球技など実戦での”走り“に適用性が生まれる、という考え方など。また競技の枠組みを超えた活発な情報交換が盛んだ。8月からは新学期が始まっているが、しっかり基礎知識をたたき込み、多くの運動能力を図るテストを実践的に学んでいる。修士論文の内容も決まり、いよいよ予備実験が始まるところだ。

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向井 薫さん(海外留学生)

米ニューヨーク大学・大学院でスポーツビジネスを学んでいる。夏季休暇を使いコンサルト会社でインターの機会を得た。日本のプロ野球チームやJリーグ、広告代理店などの依頼による米国でのスポーツビジネスのリサーチや資料作成、視察のアテンド、通訳などを体験した。スポーツ関連訴訟などのニュースを翻訳し日本の弁護士に情報提供する作業なども行った。クライアントに同行することで、スタジアムの設計の狙いを確認したり、アトラクションの現場を体験できた。そうした中、米スポーツビジネスの詳細、現場の声を直接聞くことができマーケティング戦略において学ぶべき具体的輪郭が見えてきた。今後は英語でのコミュニケーション能力をさらに引き上げたい。余談だが今期から大学の剣道部に正式入部。10歳前後も若い学生との稽古は体力的にきついが、新鮮でやりがいがある。忙しい日が続くが今期も頑張っていく。

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