2025(令和7)年度活動の全体概要
本年度は、2019年度から実施している「障害者スポーツ選手のキャリア調査」100人のインタビュー調査研究の総括を行い、書籍にまとめました。
書籍のタイトル
障害者のスポーツキャリアを考える
100人のインタビュー調査から見えてきた選手の実態と特徴的な事例
書籍の概要
- [第1章]7つの視点と12のスポーツキャリアパターン
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100人のインタビュー調査から、パラアスリートがどのようにスポーツをするに至ったか、及び競技の継続に関して、ある程度共通する7つの視点(条件)を見出すことができた。
障害の発生時期やスポーツを始める時期などにより、おおよそ12のスポーツキャリアパターンがあることが明らかになった。 - [第2章]スポーツに対する関心の有無
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スポーツを始める前の状況(スポーツに関心があるか否か)は、障害のある人がスポーツを始める前提条件といえる。「関心がある人、好きだった人、嫌いではなかった人」と「関心が無かった人、嫌いだった人」の事例を先天的障害者と後天的障害者に分けて見てみる。
- [第3章]スポーツキャリアパターンにみるスポーツ開始時のきっかけと継続
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スポーツを始めたきっかけ、及びその後の継続に影響を与えた要因について検討。以下の4つの視点で概観した。①情報提供者、②開始時重要他者、③開始場所、④継続時重要他者
- [第4章]競技活動継続時の経済的支援・社会的支援
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競技活動時の支援の実態について検討する事を目的に、調査中の主たる「活動継続時の支援 元」について、調査時身分・障害種・競技レベル別に分類し、その特徴や事例について整理。
- [第5章]モチベーション
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パラアスリートのモチベーションの維持に影響を与えた要因について、内発的動機づけとい う視点から、スポーツへの興味・関心・意欲、目標、社会的状況・環境・条件、重要な他者に着目して質的に分析。
- [第6章]障害者のスポーツを取り巻く社会的環境の変化
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事例から東京2020パラリンピック競技大会(正確には大会開催が決まった2013年)前後の選手の状況や社会的な状況を比較しその変化を見ていく。
- [第7章]本調査のまとめといくつかの提言
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ここまで見てきた調査結果を、最初に示した障害者のスポーツ実施に関する7つの視点からまとめ、考えられる提言を述べる。


書籍に関するコメント
藤田紀昭
(日本福祉大学大学院 スポーツ科学研究科 教授/当財団障害者スポーツ・プロジェクト リーダー)
パラアスリート100人のスポーツキャリアが明らかになりました。本書は、インタビューをもとに、一人ひとりの人生とスポーツの歩みを丁寧に描き出した、これまでにない実証的研究です。従来のアンケート調査では見えにくかった「なぜ始めたのか」「どのように続けてきたのか」「キーパーソンは誰か」そして「時代の影響をどう受けてきたのか」などを、豊富な事例とともに立体的に明らかにしています。先天的・後天的の違い、家族や指導者の存在、進学や就労、経済的支援、そして揺れ動くモチベーションまで、多様なキャリアの軌跡を収録しています。100人の個人史データからはスポーツ継続のための7つの視点など、今後の量的研究のためのヒントが読み取れるでしょう。パラスポーツ専門家はもちろん、スポーツに関心のある方、医療や教育、福祉領域等の研究者、実践家の皆さんにも、新たな視点と気づきを届ける一冊となるに違いありません!