調査研究

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2018(平成30)年度

トップスポーツ組織の地域振興活動に関する調査
-トップスポーツによる地域活性化とスポーツ振興を目指して-

報告書の概要

当財団が平成30年度(2018年)に実施した一般社団法人 日本トップリーグ連携機構に加盟する各リーグ所属の全国各地のトップスポーツ組織(プロ・実業団・大学)を対象に実施した「トップスポーツ組織の地域振興活動に関する調査」に協力いただいた全91組織(クラブ・チーム)の回答結果を分析し掲載。

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調査内容

異なる背景や事業目的を有すトップスポーツ組織(クラブ・チーム)の取組みを、共通指標で比較可能なデータとして収集し、各組織におけるファン・スポンサー獲得・競技人口増など地域スポーツ振興や事業の安定拡大等の施策検討時への貢献を目指す。

調査手法

WEBアンケートと調査票郵送の併用(選択可)


対象者条件

日本トップリーグ連携機構加盟チームの内、本調査実施にあたり、協力意思を示した13リーグ(一部種目は男女を別カウント)、120クラブ・チーム

サンプル数

91サンプル(回収率75.83%)


実査期間

2018年7月10日〜8月10日

成果

  • 競技種目ごとのトップスポーツ組織の取組みにおける特徴を報告書にまとめる
  • 自チームの特徴が明確になり、今後どのような取り組みを行うべきかの施策立案に役立つデータベースの作成

期待されるベネフィット

  • プロスポーツ組織:地域密着型の事業強化に役立ち、ローカルレベルでのファン層拡大やスポンサー獲得に有用
  • アマスポーツ組織:母体企業(実業団の場合)以外からの多様かつ安定的な支援獲得に有用

トップスポーツ組織の事業概要

内容 プロフィール(運営形態・法人格有無・監督ポジションなど)とその運営形態区分(企業系・独立/プロ系・大学系)、現在の組織体系での設立年など、トップスポーツ組織の事業概要を調査
結果
プロフィールについて(第1章)
  • 回答組織の運営形態比率は企業系6割プロ系3割大学系1割
  • ホッケー男子のみ、3つの事業形態(企業・独立/プロ・大学)が含まれる
  • 大学系クラブの約8割が「法人格取得済み」
  • 大学系クラブの約9割が「体育会運動部」
設立年について(第1章)
  • 1985年以前に設立された組織が最も多く約4割である
  • 国内で企業(実業団)スポーツが盛んだった時代に設立された組織が多い

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地域との関わり方に対する意識・行動

内容 ホームタウンの有無や考え方、地域活動に関する各種取組みや課題など、地域との関わり方に対する意識・行動を調査
結果
ホームタウンについて(第2章)
  • 調査に回答したトップスポーツ組織の約9割に本拠地(ホームタウン)がある。また、ホームタウンの定義とは“クラブの試合会場・練習場がある所”との認識が最も多い。
  • ホームタウンを“地域密着の場"として地域連携に眼を向けるトップスポーツ組織も多い。
地域活動の捉え方や課題について(第3章)
  • トップスポーツ組織は『自組織が取り組むスポーツ種目の活用』を最も地域活動として意識している。
  • トップスポーツ組織での“地域への支援”として『選手や指導者(監督・コーチ)による、小中学生など子どもを対象としたスポーツ教室』が積極的に実施されている。
  • トップスポーツ組織における“地域からの支援”は、試合開催時のボランティアを中心とした『人的・物的』なものと、地方行政が設定する活動助成金などの『経済的』なものが中心である。
  • トップスポーツ組織における“地域活動に関する課題認識"の度合いは、プロクラブほど高い傾向である。
  • トップスポーツ組織が考える地域課題とは『地域との連携強化を通じたクラブや競技の認知度向上』や『競技普及』などが主である。

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トップスポーツ組織の事業に関する活動や意識

内容 トップスポーツ組織の事業に関する活動や意識を調査。組織の地域における具体的活動状況や重要視するステークホルダー、マスコットキャラクター・商標・グッズについて、地域活動におけるベンチマークなど。
結果
組織の地域における具体的活動状況について(第4章)
  • 各リーグとも「後援会」や「ファンクラブ」など、継続的な事業支援組織がある。
  • 地元企業から物品やサービスなどの支援を受ける仕組みを有するトップスポーツ組織は多い。
  • 市民株主制度などを採用しているトップスポーツ組織は無かった。
  • プロクラブほど、「ボランティア組織の活用」に積極的である。
重要視するステークホルダーについて(第5章)
  • トップスポーツ組織が重視するステークホルダーはクラブの事業基盤安定化に関係する回答が目立った。
  • トップスポーツ組織では運営形態に関わらず『ファンクラブ』や『観客』などが上位になるが、企業系クラブでは『母体企業関係者』が上位、大学系クラブでは『大学関係者』が上位になる。
マスコットキャラクター・商標・グッズについて(第6章)
  • 地域に対する『クラブが保有する商標』の使用許諾は、リーグによって『無償許諾』と『許諾なし』に二極化している。特にプロクラブは『無償許可』の割合が高い
  • 各リーグとも、グッズは『タオル』『筆記用具』『キーホルダー』など、ファンや支援者が日常生活で使い易いものや役立つものが中心である。
地域活動におけるベンチマークについて(第7章)
  • 様々な地域活動(競技普及、ファンとの交流など)におけるベンチマークとして『Jリーグ』を挙げるクラブが最も多かった。具体的には『川崎フロンターレ』『名古屋グランパス』『豊田合成トレフェルサ』などが注目されている。

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報告書に関するコメント

岡本 純也
(一橋大学 経営管理研究科 准教授/当財団トップスポーツ・プロジェクトリーダー)

本報告書は2015年から調査研究活動を行っている公益財団法人ヤマハスポーツ振興財団「トップスポーツ・プロジェクト」の平成30年度(2018年度)の成果をまとめたものである。

これまで本プロジェクトでは「プロフェッショナルーアマチュア」の垣根を越えた「トップスポーツ」に着目し、わが国のトップレベルのリーグ、チーム(クラブ)の運営実態について探索的調査研究を進めてきた。※「トップスポーツ」の持続可能なシステム構築に向けた探索的調査その1 -ジャパンラグビートップリーグに着目して- (平成28年度実施)

平成30年度は「一般社団法人トップリーグ連携機構」と当該機構に所属する各リーグ、各チーム(クラブ)の協力により、トップレベルの競技組織が拠点地域(ホームタウン)において、どのような活動を行っているのか、その実態に迫る調査を実施することができた。

本プロジェクトの主要なテーマは「"地域社会"と"トップスポーツ"の未来像の探求」にあるが、地域への関わりはプロスポーツとアマチュアスポーツでは大きく異なる。しかしながら、地域の側(自治体、地域の民間組織、住民)の視点に立つならば、プロ・アマ問わずスポーツ組織は、地域経済の活性化やまちづくり、住民の健康増進、子どもたちの教育に関わる「資源」として期待される対象である。

プロとアマの境界を越えた比較、種目間の比較、地域間の比較を可能とする本調査研究の学術的な意義は大きいと考えるが、本プロジェクトの各メンバーは、地域で活動するリーグやチーム(クラブ)の関係者、それらの組織に関わる競技団体、自治体、企業・NPOなどが活動の施策を策定していくことに活かせる研究にすることを常に心がけてきた。プロジェクトメンバー一同、これらの組織に本研究を活用していただき、わが国のトップスポーツと地域社会の振興に役立つことを期待している。

今後は自治体や地域住民に対する質問紙調査やインタビュー調査などを行い「トップスポーツと地域社会の未来像」について、より立体的に描くことができるような調査研究を実施していきたい。

最後に、本調査研究にご協力いただいた一般社団法人トップリーグ連携機構と機構に所属するリーグ、チームの関係者のみなさまにこの場を借りて心よりお礼を申し述べたい。


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表紙&目次 ダウンロード
序章概要報告書の概要、調査の概要、 主な調査内容、回答クラブ・チームの基本属性 ダウンロード
調査票企業クラブ・独立/プロクラブ向け、大学系クラブ向け ダウンロード
サマリー地域との関わり方に対する意識・行動について、トップスポーツ組織の事業に関する活動や意識 ダウンロード
[第1章]組織の事業概要まとめトップスポーツ組織のプロフィールや運営形態区分、現在の組織体系での設立年などを調査 ダウンロード
[第2章]組織のホームタウンに関するまとめトップスポーツ組織のホームタウン(本拠地)の有無や、ホームタウンとはどのような存在かを調査 ダウンロード
[第3章]組織の地域活動の捉え方や課題に関するまとめ地域活動に関する各種取組みの捉え方や課題を調査 ダウンロード
[第4章]組織の地域における具体的活動状況のまとめ各種活動の実施状況、ボランティアスタッフ、後援会やファンクラブなどについて調査 ダウンロード
[第5章]組織が重要視するステークホルダーまとめトップスポーツ組織が重要視するステークホルダーの上位について調査 ダウンロード
[第6章]組織のマスコットキャラクター・商標・グッズに関するまとめマスコットキャラクターの有無や、保有商標の地域団体に対する使用許諾、チームグッズの保有率などを調査 ダウンロード
[第7章]組織の地域活動におけるベンチマークまとめ競技普及促進、支援者交流、社会貢献、地域活性化の各活動におけるベンチマークを調査 ダウンロード
報告書作成スタッフYMFSトップスポーツ・プロジェクト・メンバー一覧(2019年9月時点) ダウンロード

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