第7回 YMFSスポーツ・チャレンジャーズ・ミーティング

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スポーツ討論会

伊坂キーワードの上位三つ、決めてもらいましたね。発表はそのキーワードだけで結構です。今度は、順番逆にいきましょう。

Tまず「楽しい」。逆に「厳しい」。そして「努力」。それから三つにまとまらなくて申し訳ないのですが「助成金」。これは絶対に外せなかったので(笑)。以上です。

S僕たちは、中心に「志」というものを置きまして、それとの関係性において、三つあげました。大きくは「目標」と「不確定性」と「環境」。細かいところは、皆さん、書いてありますので見てください。運、天気、体調とかあります。

R私たちの班は、トップを目指すために共通する部分としてこの五つを挙げましたが、その中で特に大事なのはこの三つです。「挫折」「前向き」「努力」。これらを極める。以上です。

Q私たちの班は、一番は「ハードワーク」。あと「人とのつながり」。ライバルや恩師が居ないと、トップアスリートには登りつめらないのかなというのがあります。トップって何だというところにたどり着いて、自分が認めるというよりも、他者からの評価でトップアスリート、トップ研究者というのが認められているのかなという結論になりました。

P私たちの班は、まずはトップに必要なのは「志」ではないか。夢ではなく、より具体的な志。そして、いくら志があっても、お金がないと何にもできないということで「お金」。そして、「精神的な支え」。最終的にみんなハッピーに、スマイルで取り組むことが、トップに必要なんじゃないかなと思います。以上です。

O私どもは、一つは「職人」ということで。マニアックな気持ち悪い部分であるとか、それからこだわりであるとかいうのは、すべて職人気質に属しているんじゃないかと。ただ、職人って結構自己中で自己愛が強くて、他人とうまく生きていけない。そういう時には、さまざまな人からの支え、それをすなわち「絆」と書いて我われはヤマハと読むんですけれども、そういう形で、すでに理想、志や夢を目指すことは大変だけれども、ヤマハがあれば大丈夫ということで、以上です。

Nうちのグループでは、話し合いの中で二つのワード「楽しんでいる時」と「楽しくない時」っていうのは、同時に出てきました。ほとんど皆さんは、一つのことを、トップアスリート、リサーチャーとして極められていると思いますので、ほとんどは、楽しくない。楽しくないことも結構多いと思うんですけれども、いざ、結果が出た時に、最高の楽しみ。ここには矛盾があって、普通の人にはできないことなので、要するに、私たちは「変態」ですということになるので、一般の方にはお勧めできませんという結論になりました。以上です。

M我われのグループはいろいろ出てきて、この中から三つ選べないということで、こういうことにまとまりました。「心・技・体」。この三つがそろっているのがトップリサーチャーであり、トップアスリートであるということになりました。これを極めていきたいと思います。

L私たちのグループでは、トップアスリート、トップリサーチャーの共通点として、まず「心」が出ました。心は、情熱、目標、志、向上心など、やっぱり、強い心が大事だということ。次に「人」。人脈、仲間、ライバルがいないと成功はしないということ。そして最後に「環境」。これは、いい環境でも、悪い環境でも、トップアスリート、トップリサーチャーは、常に最高の力を出し続けるということが共通点だということにまとまりました。以上です。

K私たちのチームから出たのは、トップの人たちは自分中心、つまり「自己中」ですね。周囲を気にしない。空気を読まない。あえて読まないということです。そんな人たちは、追い込み、追い込まれたい。「ドS」であり「ドM」である。いわゆる「変人」です。以上です。

伊坂ありがとうございます。どうもお疲れさまでした。いろいろ意見が出ましたが、あと10分ほどお話をさせていただいて、討論会を締めたいと思います。

私自身が、トップアスリートを見ていて感じたことは、こんなことかなと思っています。まさに「集中力」。これはすごいですね。それと、やっぱり「トレーニング」をちゃんとやらはります。それと「計画性」と、目標実現に向けて「高い意欲の持続」。さらに「自己管理」。けがもしますが、そこから見事に回復する。このへんがトップアスリートの特長ではないかなと、私は思うんです。

じゃあ、トップリサーチャーは何があるかなと思って考えたんですが、エジソンを持ってきました。エジソンの有名な言葉はいっぱいあるんですが、「私たちの最大の弱点は、あきらめることにある」と。「成功するのに最も確実な方法は、常に、もう1回だけ試してみることだ」ということを、彼は言っています。なので、彼は実験に失敗したことがないと。「電灯がともらないという経験を、1回増やしただけだ」というような言い方をしています。

彼が作った会社が、GEですね。アメリカのナスダック史上、1回も指定銘柄から外れていない100年続いている会社ですが、彼はもう一つ言っています。「どうすれば成功できるんですか」と聞かれた時に、彼は三つのことを言った。一つは「野心・野望・志」、それと常識にとらわれない「想像力」。昼夜を問わず働く「意志」の3要素。彼は1日18時間働いたそうです。ですから、人の人生より2〜3倍は濃密な人生で過ごしてきたんだろうと。これをまとめると「ビジョンとハードワーク」でしょうか。

また吉田松陰は、こんなことを言っています。「夢なき者に、理想なし。理想なき者に、計画なし。計画なき者に、実行なし。実行なき者に、成功なし。ゆえに、夢なき者に成功なし」ということで、ぜひ皆さんも、大きな夢を掲げながら、そして、具体的な志を持って進んでほしいということです。

道に迷ったらどうするんや、壁に当たったらたらどうするんやということが、昨日の浅見先生の基調講演でした。エジソンですとか吉田松陰のような志、大志を持っている人は道に迷う必要がないんですが、道に迷わない人はどんな人かなって、考えてみました。その1。行き先がない人。動かない人。迷いませんね、じっとしていますから。行く必要がありません。そういう人は論外だとしたら、迷わない人、その2。次のことが、はっきりしている人。行き先。それが夢であり、目標だと。二つ目、そこに行きたいという動機と行動。それと、到達までの計画と道具。道具というのは、磁石であり、仲間であり、トレーニング、アイデア。

だから、40パーセントが死ぬという山に登ろうという人は、やっぱり、綿密な計画と道具を、しっかりそろえるわけですね。その上でチャレンジする。行き先は決まっていますね。動機と行動は、はっきりしている。これがぼんやりしてくると、迷うんですね。だから、皆さん自身が常にフィードバックをかけて、自分はどこに行くのか、何をしたいのか、そして、それはどういう動機に基づいているのかということを明確にする。

もう一つ、壁。浅見先生は「壁というのは、ペランペランで薄いものだ」と。我われはここに、多分、成功体験とか、常識とか、イメージとか、先入観とか価値観とか、しきたりとか、練習環境、根気とか、いろんなものを張りつけてしまうんでしょうね。それで壁が厚くなるんじゃないかな。逆に言うと、こういうものを本当に突き抜けて、取っ払って、薄い紙だと思えば、ボンとぶつかっていけるんです。物理的には、非常に薄いものだ。皆さん自身の中にあるものを取っ払って、壁を突き破ってほしいなというふうに思います。

私の好きな歌、『アンパンマンのマーチ』。皆さん、歌えますか?「何のために生まれて、何をして生きるのか」というのが、最初のフレーズです。子どもの歌ですが、すごい哲学的ですね。その次。「答えられないなんて、そんなの嫌だ」。皆さん、答えられますか? 皆さんも道に迷ったり壁にぶち当たりそうになったら、ぜひ『アンパンマンのマーチ』を思いだしてください。できれば、リズム良く歌えるようにしてくださいね。かわいくね。

やはり、人生の目的は何かといった時に、これはやっぱり、どなたも幸せな人生を送ることなんですね。幸せな人生は何かというと、ライフキャリアとワークキャリアというのはほぼ一緒だとすると、やっぱり、いい仕事をすることです。これしかありません。いい研究をし、いいパフォーマンスを出す。これが、やっぱり、幸せだと思います。

ぜひ、皆さん、今後のチャレンジをしっかりやっていただいて、常に成功を確信して頑張る。これは、村田兆治さんのサインボールで、彼は60歳で夢の140キロを投げる。すごいね。常に成功を確信するということと、皆さん、自分は運がいいと思ってください。おれは、運がいいと思い続けてください。本当にそうなりますから。

時間を守るのがプロフェッショナルですので、ちょうど時間となりました。ということで、スポーツ討論会を終わらせていただきます。ありがとうございました。


パネリスト・司会

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プロフィール

伊坂 忠夫(いさか ただお)
公益財団法人ヤマハ発動機スポーツ振興財団 理事・スポーツチャレンジ助成 審査委員
立命館大学スポーツ健康科学部教授(副学部長)

中・高・大(産業社会学部)と立命館に在籍。大学卒業後は、日本体育大学大学院体育学研究科修士課程から同大学助手などを経て、1992年、立命館大学理工学部助教授。その後、ジョージア工科大学、テキサス大学の客員研究員、日本オリンピック委員会強化スタッフなどを務め、2010年より、立命館大学スポーツ健康科学部教授(副学部長)に就任。主に、スポーツ活動中や日常生活でみられるヒトの動きを力学的・生理学的観点から解析し、競技力向上や日常活動支援へ応用することをテーマに活動。