スポーツチャレンジ賞

スポーツ界の「縁の下の力持ち」を称える表彰制度

第6回 表彰式

第6回ヤマハ発動機スポーツ振興財団スポーツチャレンジ賞表彰式を開催しました

第6回ヤマハ発動機スポーツ振興財団スポーツチャレンジ賞

4月22日(火)、東京都千代田区の東京會舘にて、第6回ヤマハ発動機スポーツ振興財団スポーツチャレンジ賞表彰式を開催しました。

平成25年度の受賞者には、功労賞に義肢研究員・義肢装具士の臼井二美男氏を、また奨励賞には東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会戦略広報部の皆さんを選出し、当財団の木村隆昭理事長からそれぞれ表彰状とメダル、賞金(目録)、記念品が手渡されました。選考経緯の説明に立った浅見俊雄選考委員長は、「受賞者の皆さんの功績はそれぞれ賞賛されるに相応しいまさに『縁の下の力持ち』的なチャレンジ。あらためて敬意を表します」と挨拶。また、会場には大勢の人々が祝福に訪れ、「本日受賞される皆様の功績は我が国のスポーツ振興につながるものです」と話された本多秀幸氏(文部科学省 スポーツ青少年局 スポーツ振興課 課長補佐)をはじめ、花岡伸和氏(日本身体障害者陸上競技連盟 副理事長)、水野正人氏(東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会 副理事長・専務理事、ミズノ株式会社顧問)から祝辞が贈られました。

表彰式の終了後には、受賞者を囲んで交流会が開かれ、岡崎助一氏(公益財団法人日本体育協会 専務理事)の乾杯の発声により、なごやかな雰囲気のひと時を過ごしました。交流会では、受賞者それぞれのチャレンジの軌跡をスライドで紹介するとともに、中森邦男氏(日本障害者スポーツ協会 強化部長/日本パラリンピック委員会 事務局長)、水谷憲勝氏(ヘルスエンジェルス選手会長)、青木剛氏(JOC日本オリンピック委員会)、佐藤真海氏(陸上・走り幅跳び選手、サントリー所属)から、受賞者への祝福やチャレンジにまつわるエピソードなどが披露されました。こうしたあたたかい雰囲気に包まれた交流会は、「素晴らしい受賞者と、その受賞者に感謝の気持ちを抱く皆さんが集まって、いま心からの幸福感を感じています。この幸福感を味わった私たちには、それを活かしていく責任があるはずです。明日からまた目標に向かって進んでいきましょう」という柳敏晴氏(神戸常盤大学 口腔保健学科 教授/当財団 理事)の挨拶で締められ、大きな拍手に包まれました。

コメント

功労賞・臼井 二美男氏(鉄道弘済会義肢装具サポートセンター、義肢研究員、技師装具士)

第6回ヤマハ発動機スポーツ振興財団スポーツチャレンジ賞

このような賞をいただける日が来るとは夢にも考えていませんでした。感無量であると同時に、あきらめず長く続けることで生まれる価値もあるのだなと実感しています。まず、私の職場の皆さんにあらためて感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。鉄道弘済会という職場には個人的な研究やチャレンジを奨励するような土壌があり、私はこうした恵まれた環境の中で活動してくることができました。もう一つ、嬉しかったことは、トップアスリートへの支援だけでなく、ごく一般的な義足使用者に「走る歓び」を提供するという取り組みに着目いただいたことです。私たちの役割は、義足使用者に力強く、いきいきとした暮らしをしていただくためのお手伝いだと考えてきました。世界で活躍するようなアスリートは、その中から自然に生まれてくる存在なのだと思います。これからも私の技術や経験、エネルギーが役に立つのだとすれば、2020年、さらにその先を見つめて力を注いでいきたいと思います。

祝福メッセージ|花岡 伸和氏(日本身体障害者陸上連盟 副理事)
第6回ヤマハ発動機スポーツ振興財団スポーツチャレンジ賞

身体の一部を失った人に義足を提供し、まず立ち上がり、そして歩く、さらに走ってみようと声をかけてその指導をする。臼井さんが長年続けてこられたこうした活動は、アスリートの育成とは違った苦労があるものです。私たちアスリートは自分の頑張り次第でメダルをつかむことができますが、臼井さんのような職人にはそうしたチャンスがない。だからこそ臼井さんにメダルをかけてくださった選考委員会の皆様に、すべてのアスリートを代表して感謝したいと思います。

祝福メッセージ|中森 邦男氏(日本障害者スポーツ協会 指導部 部長/日本パラリンピック委員会 事務局長)
第6回ヤマハ発動機スポーツ振興財団スポーツチャレンジ賞

臼井さんの功績を振り返り、ゼロからの先駆者として立派な生き方をされているとあらためて感じています。義足を使用する人々にとって、できることを増やしていくのはたいへんなことであると同時に、大きな喜びとなるでしょう。中でも臼井さんが取り組まれている「走る」ということの重要性、そして嬉しさは格段な喜びであるはずです。こうした地道な活動の中から、たくさんの人たちの目標となるアスリートが生まれてくることも願っています。

奨励賞・鈴木 德昭氏(東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会 国際・戦略広報担当部門長 兼 戦略広報部部長)

第6回ヤマハ発動機スポーツ振興財団スポーツチャレンジ賞

皆様もご承知のとおり、招致活動は我々だけで進めてきたわけでなく、招致委員会のメンバーや東京都の職員の皆さんなど合わせて100人ほどが裏舞台で働いてきました。今回は、そうしたすべての縁の下の力持ちを代表して賞をいただいたものと考えています。今回の招致成功は、IOC総会でプレゼンテーションにも立ってくださった安倍首相をはじめ、文科省や外務省、日体協、JOC、アスリート、経済界、そしてメディアや国民の皆様の後押しなど、オールジャパンで、日本が一つになってつかんだ勝利です。日本には大きな目標ができました。その役割の一端を担わせていただいたことの誇りを糧にして、この国のスポーツのさらなる発展、そして2020の成功に微力ながら貢献したいと思います。

奨励賞・髙谷 正哲氏(東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会 戦略広報部シニアディレクター代行)

第6回ヤマハ発動機スポーツ振興財団スポーツチャレンジ賞

2020年の招致活動を始めた時、広報担当は私一人でした。そこから同じ目標を持つ仲間たちが少しずつ増えていって、仲間という存在の素晴らしさを実感させてもらいました。招致は勝ち負けのつく仕事です。それだけに勝った瞬間のことは一生忘れないでしょう。日本は招致にあたって国際社会にさまざまな約束をしました。その約束を果たす姿を世界中に見せていくことが、(現在は東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に在籍する)私たちの責務だと考えています。いずれにしても素晴らしい仲間と仕事をすることができ、それを皆さんに知ってもらう機会を与えていただいたことに感謝致します。

祝福メッセージ|水野 正人氏(東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会 副理事長・専務理事、ミズノ株式会社顧問)
第6回ヤマハ発動機スポーツ振興財団スポーツチャレンジ賞

招致委員会が発足して以来、戦略広報部のメンバーとは一緒に仕事をしてきました。私たちはプレゼンテーションなどの表舞台に立たせてもらうこともあったのですが、その舞台を準備してくれたのがここにいる戦略広報部のメンバーです。膨大な仕事量を抱えながら難しい問題にも一つひとつ粘り強く確実に取り組み、そんな彼らがふらふらになって倒れそうになる姿に涙したこともありました。まさに招致成功の縁の下の力持ち。この喜びを2020につなげていきましょう。

祝福メッセージ|佐藤 真海氏(陸上・走り幅跳び選手、サントリー所属)
第6回ヤマハ発動機スポーツ振興財団スポーツチャレンジ賞

戦略広報部の皆さんとお会いするのは、昨年のIOC総会以来です。最終プレゼンテーションに立たせていただいた私にとって、皆さんは戦友であり、また大切な家族でもあります。私たちは招致に向けて「スポーツの力」を世界にアピールしました。その力をもっともっと大きくするために、あの熱い気持ちを忘れず2020に向かって進んでいきましょう。私にとっての一生の戦友、そして家族がこうして報われたことを心から嬉しく思います。また、臼井さんについては、私が義足で走り出すその第一歩からサポートしていただき、臼井さんの存在がなければその後の3度のパラリンピック出場もありませんでした。ヘルスエンジェルスの練習会は、喪失感を抱いた人が集まり、みんなと一緒に楽しく走る場所。最近はなかなか顔を出すことができないのですが、そこに集まる人々のことを思い浮かべるたびに涙が出そうになります。みんなに頼られ忙しい日々を送る臼井さんの疲れた顔を見ると心配になりますが、これからもサポートをよろしくお願いします!