スポーツチャレンジ賞

スポーツ界の「縁の下の力持ち」を称える表彰制度

第18回 表彰式

第18回ヤマハ発動機スポーツ振興財団スポーツチャレンジ賞表彰式を実施しました

第18回ヤマハ発動機スポーツ振興財団スポーツチャレンジ賞表彰式

6月29日(月)、東京都千代田区のSOLAシティホールにて、「第18回ヤマハ発動機スポーツ振興財団スポーツチャレンジ賞 表彰式」を実施しました。

2025年度のスポーツチャレンジ賞は、ブラインドマラソン/ガイドランナー指導者の安田享平氏が受賞。表彰式では当財団の岡本知彦理事長から、表彰状とメダル、賞金(目録)、記念品を贈呈しました。

受賞者コメント|安田 享平氏
受賞者コメント|安田 享平氏

このたびは、誠にありがとうございます。
1995年、今から30年前のことです。当時、順天堂大学陸上部監督の澤木啓祐先生に「夏は何をするんだ?」と尋ねられ、「走り込みます」と答えたところ、「よし、アトランタへ行ってこい」と言われました。このやりとりをきっかけに、私はアトランタ(パラリンピック)へ向かうこととなりました。澤木先生からは、「頼まれたことは即決で引き受けなさい。頼む側は、その何倍も考えているのだから、素直に応じていれば、また新たな縁につながる」と教わりました。その言葉のとおり、気づけば30年にわたり関わらせていただいています。
私自身、この30年を一つの区切りと考えていたのですが、その矢先にこのような賞をいただくこととなりました。ですからいまは、これからもさらに取り組みを進めていかなくてはならないという思いを強くしています。活動を続ける中では、さまざまな課題が見えてきます。それらの課題は「次の世代に委ねるべきか」とも考えていましたが、この受賞を機に、今後も積極的に関わって、パラスポーツ、そしてスポーツ全体に良い影響を届けられるよう地道に活動を続けてまいります。今後も皆様にお力添えやご指導をお願いすることがあるかと思いますが、引き続きよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。

主催者挨拶|岡本 知彦(ヤマハ発動機スポーツ振興財団 理事長)
主催者挨拶|岡本 知彦(ヤマハ発動機スポーツ振興財団 理事長)

ヤマハ発動機スポーツ振興財団スポーツチャレンジ賞は、スポーツ界を支える「縁の下の力持ち」の功績を称える表彰制度です。人々に感動をもたらす大きな成果や、日頃、私たちが安心してスポーツに親しむことのできるこの環境は、こうした「縁の下の力持ち」の皆さんによる情熱的なチャレンジに支えられています。
今年度の受賞者である安田享平様は、ブラインドマラソンの指導者であり、ガイドランナーの第一人者としてご活躍されています。ナショナルチームの競技力向上はもとより、伴走文化の構築と浸透に向けて、自らの経験と知見を広く発信することで、ブラインドマラソンの普及・振興に尽力しておられます。
伴走者は、視覚障害のあるランナーにとって、安全に、より速く、そして楽しく走るための「目」の役割を担う存在です。安田様は、その豊かな経験をトップアスリートや指導者の育成にとどめることなく、市民ランナーへの普及・振興活動にも注いでこられました。その地道で継続的な取り組みに、私自身、深い感銘を受けております。ヤマハ発動機スポーツ振興財団は、「夢の実現にチャレンジする人を応援する」財団です。「伴走文化を創り上げたい」という安田様の高い志に、微力ながら、当財団も貢献してまいりたいと考えております。
本日は誠におめでとうございます。

来賓祝辞|中村 宇一 (スポーツ庁 健康スポーツ課 課長)
来賓祝辞|中村 宇一 (スポーツ庁 健康スポーツ課 課長)

安田様、本日は誠におめでとうございます。
スポーツ庁では、第4期スポーツ基本計画に向けて、スポーツの振興にとどまらず、競技力の向上や国民全体のウェルビーイングの実現について検討を進めています。その一環として、障害のある方々がより身近にスポーツに親しめる環境づくりや、パラスポーツにおける競技力向上のあり方について議論を重ねています。
受賞者である安田様は、ガイドランナーとして数々の実績を重ねるとともに、後進の指導者育成にもご尽力されてきました。こうした皆様の活動があってこそ、パラスポーツの取り組みはさらに広がっていくものと考えております。また、その功績を称える表彰制度も大変重要です。スポーツ振興に取り組まれているYMFS関係者の皆様、そして本日受賞された安田様に心よりお祝い申し上げます。

来賓祝辞|森 和之 (日本パラスポーツ協会 会長)
来賓祝辞|森 和之 (日本パラスポーツ協会 会長)

安田恭平様、あらためまして誠におめでとうございます。
本賞は、スポーツ界における表彰の中でも、大変ユニークで意義深いものだと感じております。普段はなかなか光が当たりにくいものの、多くのアスリートの成功や活躍を支え、その成果へと導いてこられた方々を顕彰することは、誠に意義のあることです。
私ども日本パラスポーツ協会は、「互いを理解し、尊重し、助け合いながら、パラスポーツの振興を通じて、活力ある共生社会をつくっていく」というビジョンのもと、取り組みを進めています。安田様のこれまでの活動は、まさに私ども協会のビジョンと相通じるものであり、挑戦する人を応援するというYMFSの哲学とも、深く重なり合うものだと感じております。
私自身、パリパラリンピックでは、道下選手を応援しようとゴールの間近で声援を送っておりました。その際、3番手を走っていたスペインのランナーは、ゴールの直前でガイドランナーが変調をきたし、転倒しそうになったところを女性ランナーが支えました。そのおかげで転倒をまぬがれ3位でフィニッシュしたのですが、その後、このランナーは競技規則に抵触してしまったということで失格となりました。42.195キロを走り抜いてきた二人にとって、あまりにも厳しい結末でした。それほどまでに、この厳しい競技に全身全霊で取り組んでおられることに、深く頭が下がる思いでした。同時に、パラスポーツの素晴らしさをあらためて実感しました。
本日の表彰式が、スポーツの価値をさらに高め、パラスポーツの普及・振興を通じて、私たちが目指す活力ある共生社会の実現へと一歩近づく機会となりますことを願っております。

来賓祝辞|八木 由里 (日本オリンピック委員会 常務理事)
来賓祝辞|八木 由里 (日本オリンピック委員会 常務理事)

スポーツチャレンジ賞を受賞されました安田恭平様に心よりお祝い申し上げます。
安田様は長年にわたり、ガイドランナーの第一人者として視覚障害のあるアスリートの競技力向上に尽力されるとともに、伴走文化の普及・発展に大きく貢献してこられました。アスリートが夢や目標に向かって、挑戦する姿は、多くの人々に勇気や希望を与えます。しかし、その挑戦の裏には、常に支える方々の存在があります。安田様が取り組まれてきた活動は、単に競技力の向上にとどまらず、障害の有無を問わず、誰もがスポーツに親しみ、挑戦できる社会の実現につながるものであり、スポーツが持つ価値を広く社会に伝える、大変意義深い取り組みであると感じております。
スポーツには、人と人をつなぎ、互いを理解し、支え合う力があります。そして、その力を未来へつないでいくためには、アスリートだけでなく、多くの支援者や関係者の皆さんとの連携が欠かせません。このような活動に光を当て、長年にわたりスポーツの発展を支えてこられたYMFSの皆様に心より敬意を表するとともに、深く感謝申し上げます。

選考経緯|伊坂 忠夫(ヤマハ発動機スポーツ振興財団スポーツチャレンジ賞 選考委員長)
選考経緯|伊坂 忠夫(ヤマハ発動機スポーツ振興財団スポーツチャレンジ賞 選考委員長)

安田恭平様、このたびのご受賞、誠におめでとうございます。選考委員会を代表し、心よりお祝い申し上げます。
スポーツチャレンジ賞は、競技成績や華々しい成果そのものだけでなく、その成果を支えてきた方々に光を当てる表彰制度です。競技を支え、スポーツの振興や社会の活性化に貢献してこられた個人・団体を顕彰することを目的としております。
選考委員会では、スポーツ振興や社会の活性化につながる大きな成果への貢献、ロールモデルとしての社会的影響力、そして今後のさらなる発展性と継続的な活躍への期待という三つの観点から慎重に審査を行い、安田恭平様を選出いたしました。
私たちが特に高く評価したのは、安田様の活動が、トップアスリートへの支援にとどまらず、伴走技術の体系化、指導者の育成・養成、さらには全国各地でのガイドランナー体験教室の開催などを通じて、伴走文化の普及と定着に大きく貢献されてきた点です。安田様の取り組みは、競技スポーツの発展に寄与するだけでなく、視覚障害のある人とない人が共に走り、互いを理解し、支え合う環境づくりを進めるものでもあります。これは、共生社会の実現に向けた大きな力であり、スポーツの価値を社会へ広げる実践者として、多くの人々に希望と行動のきっかけを与えるものです。選考委員会は、安田様の長年にわたる先進的な活動、その活動が生み出してきた社会的インパクト、そして今後も日本のパラスポーツと伴走文化の発展を牽引していかれるだろう将来性を高く評価して、全会一致で決定いたしました。
安田様が受賞コメントで述べておられるように、この賞は決して安田様お一人のものではなく、全国で誰かのために走り続けている多くのガイドランナーの皆様を代表して贈られる賞でもあります。本日の表彰が、安田様のさらなる挑戦の励みになるとともに、日本のスポーツ界において「支える力」の価値を改めて見つめ直す機会となることを心より願っております。

※敬称略