2022(令和4)年度

障害者スポーツを取り巻く環境について(速報:2022年9月)

TVメディア報道、パラリンピアン認知度、TVコマーシャル制作状況の変化

今年3月に北京パラリンピックが終了し、追跡調査してきたパラリンピックのテレビメディア報道状況、パラリンピアンの認知度、障害者スポーツ関連のテレビコマーシャル制作状況について、直近の調査結果を含めてご報告いたします。

1)テレビメディアによる障害者スポーツ情報発信環境調査

調査目的

北京2022パラリンピック大会の開催にあわせ、障害者スポーツのテレビメディアでの露出状況(量的、番組傾向、トピックスなど)を把握し、影響度や障害者スポーツ認知度との相関を図ることを目的とする。

調査対象

東京都内での地上波デジタル(メインのみ)の放送環境を有するテレビ局の東京エリア放送分のデータをもとに、検索対象ワードとして、①”パラリン”、②”障害” AND “スポーツ”、③”障がい” AND “スポーツ”の3条件を設定しデータを抽出

調査期間

過去4大会〔バンクーバー(2010)、ソチ(2014)、平昌(2018)、北京(2022)〕の、「開催前1か月間」「開催中」「開催後一か月間」。

調査結果(速報値)

①過去4大会(冬季大会)の放送時間の変遷(開催前・開催中・開催後の合計送時間)

大会ごとにみると、平昌大会に向けて増加し、北京大会では減少となりソチ大会と同じレベルであった。
平昌大会は、バンクーバー大会の約3倍の合計放送時間であった。

過去4大会(冬季大会)の放送時間の変遷(開催前・開催中・開催後の合計送時間)

②過去4大会(冬季)の開催前・開催中・開催後別放送時間

「開催前」では、バンクーバー大会からソチ大会に放送時間は増加したが、ソチ大会から北京大会にかけて放送時間に大きな違いは見られなかった。
「開催中」では、ソチ大会から平昌大会にかけて倍増したが、北京大会では減少した。
「開催後」では、ソチ大会から平昌大会に掛けて微増したが、北京大会では減少して、ソチ大会と同規模の放送時間であった。

過去4大会(冬季)の開催前・開催中・開催後別放送時間

③テレビ局別にみる大会ごとの放送時間(開催前・開催中・開催後の合計)

「NHK総合」「日本テレビ」「テレビ朝日」は平昌大会が最も多い。
「TBS」「フジテレビ」「テレビ東京」は、北京大会に向けて徐々に放送時間が増加した。

テレビ局別にみる大会ごとの放送時間(開催前・開催中・開催後の合計)

④番組カテゴリー別にみる放送時間(北京大会。開催前・開催中・開催後の合計)

最も放送している番組カテゴリーは「スポーツ」。ついで、「ニュース/報道」、「情報/ワイドショー」であった。

番組カテゴリー別にみる放送時間(北京大会。開催前・開催中・開催後の合計)
(注)番組カテゴリーは番組自体の分類を指す。例えば、ニュース 番組内のスポーツコーナーでパラリンピアンについての話題を取り上げた場合、番組カテゴリーは「ニュース/報道」となる。

⑤番組カテゴリー別にみる大会別放送時間(開催前・開催中・開催後の合計)

放送時間の多かった「スポーツ」「ニュース/報道」「情報/ワイドショー」について大会別に見てみると、いずれも平昌大会をピークとして、北京大会で減少となった。

番組カテゴリー別にみる大会別放送時間(開催前・開催中・開催後の合計)
(注)番組カテゴリーは番組自体の分類を指す。例えば、ニュース 番組内のスポーツコーナーでパラリンピアンについての話題を取り上げた場合、番組カテゴリーは「ニュース/報道」となる。

⑥北京2022パラ日本代表の放送時間(開催前・開催中・開催後の合計)

北京大会に出場した日本代表選手で放送時間の多かった選手上位20人は以下の表のとおりであった。
メダリストが上位に位置している。村岡桃佳選手、川添大輝選手、森井大輝選手。

北京2022パラ日本代表の放送時間(開催前・開催中・開催後の合計)

⑦北京2022パラ日本代表の放送時間

開催前、開催中、開催後ごとの放送時間の多い上位10人は以下のとおりであった。

北京2022パラ日本代表の放送時間

2)パラリンピアンに対する社会的認知度調査

調査目的

北京2022パラリンピック大会開催後のパラリンピアンに対する認知、および実施競技の認識を調査。

調査対象

全国の市町村に在住する20歳以上の男女2060名を対象とした、インターネットによるウェブ調査。

調査期間、調査方法

2022年5月27日(金)~2022年5月31日(火)
インターネットによるウェブ調査

調査結果(速報値)

①北京2022パラリンピック日本代表選手認知度

北京大会に出場した日本代表選手で認知度(知っている+聞いたことがある)の高かった選手上位10人は以下の表のとおりであった。

北京2022パラリンピック日本代表選手認知度
※正誤率:クロスカントリー/バイアスロン両方に出場した選手の場合、いずれかを選択していたら正解とする
※同率10位のため、11人掲載

3)障害者スポーツ関連のテレビコマーシャル(TVCM)

3-1)障害者スポーツ関連のCM件数

調査目的

2008年以降の障害者スポーツ関連のテレビコマーシャル制作の実態(放送年、競技、出演者など)を把握し、社会的ムーブメント形成の背景を探る。

データ抽出方法/抽出条件

継続的に保存されている関東キー局のTVCM放送実績データベースより、障害者スポーツ選手、障害者スポーツ競技が画面上に表出しているTVCMをテキスト検索にて抽出(データ提供者 ニホンモニター株式会社)

データ抽出期間

2008年1月1日~2021年12月31日

調査結果(速報値)

①障害者スポーツ関連のCM件数(2008~2021)

2016年に障害者スポ―ツ関連のCMが急増した。2017年に一旦減少するが、以後東京パラリンピック開催された2021年に向けて安定的に増加している。

障害者スポーツ関連のCM件数(2008~2021)
(注)2008~2017年は、前回調査(2017年度)のデータをもとに、本調査ではパラリンピック関連ロゴが掲載されているCMを追加した

②障害者スポーツ関連の競技別CM件数(2008~2021)

最も多かったのは「複数・その他」であった。(複数競技もしくは その他(東京パラや共生社会実現に関する啓蒙CMなど)やタレント名など載っていなかったCMがこれに含まれる。)

障害者スポーツ関連の競技別CM件数(2008~2021)

3-2)「パラアスリート起用のテレビコマーシャル(TVCM)」実態調査

調査目的

パラアスリートを起用したTVCMの実態(選手、競技、広告主など)を把握し、社会的ムーブメント形成の背景を探ることを目的とする。

データ抽出方法/抽出条件

テレビスポーツデータ年鑑2008~2021(ニホンモニター㈱発行)の掲載データより、アスリート名/競技名/広告主が明確なデータを抽出

データ抽出期間

2008年1月1日~2021年12月31日

調査結果(速報値)

①パラアスリート起用関連のCM件数(2008~2021)

東京パラリンピック開催との関連し(2013年に東京パラ開催決定、2014年東京2020組織委員会発足、2015年大会スポンサー契約開始)、2016年にパラアスリート起用のCMは大きく増え、その後2021年まで増加傾向にある。

パラアスリート起用関連のCM件数(2008~2021)

②パラアスリート別CM数(2015~2021)上位20位

車いす、義足・義手の障害のアスリートが多く起用されている。

パラアスリート別CM数(2015~2021)上位20位