第5回 YMFSスポーツ・チャレンジャーズ・ミーティング
平成23年度 第5期生修了式
日時 | 3月18日(日) 11:40〜12:40 |
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内容 |
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第5期生の32名が助成期間を終え新たなチャレンジへ
特別チャレンジャー賞は溝口紀子さんと金ウンビさん
1年間のチャレンジを終え、新たなステージへ向かう第5期生へエールを込めて修了証を贈った
YMFSスポーツ・チャレンジャーズ・ミーティングの最終日となる3月18日に、平成23年度(第5期生)の修了式が行なわれました。大会や学会参加などにより欠席した10名を除く22名が参加し、ある者は笑顔で、またある者は厳粛な表情で木村隆昭理事長より修了証を受け取り、すでに始まっているチャレンジへの決意がヒシヒシと伝わってきました。
同時に、世界に伍する成果を残し、スポーツ振興及びスポーツのレベル向上に貢献したチャレンジャーに贈られる審査委員特別賞と、将来を期待させる際立つ成果を残したチャレンジャーへ贈られる特別チャレンジャー賞を発表。審査委員特別賞の該当者はいませんでしたが、第5期生のスポーツチャレンジ研究助成から「女子柔術・柔道における歴史社会学的研究」をテーマにチャレンジした溝口紀子さんと、外国人留学生奨学金の第4期生として「音楽を用いた身体活動の心理的・行動的効果と運動の継続性に関する研究」をテーマにチャレンジした金ウンビさんが特別チャレンジャー賞に選ばれました。
溝口さんは学会出席のためこの日は欠席しましたが、金さんは歓びで声を詰まらせながら「これまでの研究は学校の研究室だけで行なってきましたが、財団を通じさまざまな分野の方に出会い、多岐に渡る視点でのアドバイスをいただき研究にも生かすことができました。また第6期生に選ばれたので、これからの2年間もさまざまな活動にチャレンジしたいと思います」とさらなる成長を誓いました。
また浅見審査委員長は「『語り』『学び』『考える』という3日間でしたが、ぜひこの経験を自身で解きほぐし再構築してこれからのチャレンジに生かしてもらいたい。またこの財団は助成期間だけでなく、助成終了後も交流を続けていくことが特徴です。ようするに我々はファミリーとして皆さんのチャレンジを支援したいし、皆さんも何かあった時はぜひ我々に相談してほしいと思います。チャレンジに終わりはありませんので、これからも一緒にチャレンジを続けていきましょう」と修了式を締めくくりました。
選考経緯|浅見俊雄 審査委員長
「特別賞は、皆さんの報告書や資料による予備審査と今回の成果発表をもとに決定しました。まず審査委員特別賞は、皆さん素晴らしいチャレンジをしていますが、目標であるゴールに到達していないという判断により該当者なしとしました。一方の特別チャレンジャー賞は、溝口さんと金さんに決定しました。溝口さんは五輪のメダリストというトップ選手として活躍した後、分野の異なる社会科学系の大学院に所属して活躍していること。そしてその研究も日本の柔道史、特に女性の柔道・柔術を掘り下げて鋭い考察を加えた論文をまとめつつあるということで決定しました。金さんは、音楽、運動、そして仲間をキーワードに、その背景にある心理的・行動的効果について研究し論文にまとめたほか、東日本大震災の後に実際に被災地を訪れ、音楽やダンスを使って被災者の皆さんと交流し、辛い気持ちや暗くなった気持ちを明るくしようと努力した事実も含めて決定しました。また今回は体験チャレンジャーの受賞はありませんでしたが、ロンドンの選手団として正式に発表された際に、活躍を期待して金一封を贈呈したいと考えています」
平成23年度特別チャレンジャー賞
受賞者 | 溝口 紀子(第5期生) |
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テーマ | 女子柔術・柔道における歴史社会学的研究 |
受賞者コメント | 「若い理系研究者が大勢いらっしゃる中で、文化史研究を認めてもらい嬉しい限りです。私はアスリートから研究者に転身しましたが、私の実感としては、アスリートは実践で1mmの違いがわかる繊細さもあり、タフで諦めない。何より現場の空気感やタイミング、力の入れ具合などが分る。だから、アスリートとしての経験は、さらにリアリティのある研究に繋がると思います。スポーツは動画や教科書では伝えきれない人の知恵の伝承。それを文化との繋がりで検証するとき、文化の地層が見える瞬間があり、これが研究の面白さ。今後? 薙刀、女相撲、剣道の歴史社会学とか、テーマは沢山あります」 |
受賞者 | 金 ウンビ(第4期生) |
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テーマ | 音楽を用いた身体活動の心理的・行動的効果と運動の継続性に関する研究 |
受賞者コメント | 「私がこの財団に所属してからいろいろな変化がありました。まずは経済的な不安がなくなったこと。そして研究活動においても財団を通じて出会ったさまざまな分野の方から意見をいただくことで、たくさん刺激を受けるようになりました。また、思うように研究が進まない時に浅見審査委員長からアドバイスをいただき、自信を持って取り組むことができました。なかでも“現場に生きる研究”を意識するようになり、被災地でのボランティア活動にチャレンジしました。私は第6期生に選ばれたので、これまでの経験を活かしながらまた2年間さまざまな活動にチャレンジしたいと思います」 |