スポーツチャレンジ賞

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YMFS SPORTS CHALLENGE AWARD SPECIAL CONTENTS

江黑直樹

江黑直樹の足跡

FOCUS
NAOKI EGURO

ゴールボールのむこうにあるもの

ほんのすこし目を閉じて、想ってみてほしい。

静かな体育館の中にいる。床にはバレーボールのコートと同じ大きさの長方形が描かれている。あなたはその長方形の短辺の一方に2人のチームメートと立っている。そしてコートの反対側には相手チームの3人がいる。

コートの中の6人は全員あるものをつけている。アイシェードだ。

ホイッスルが鳴る。両チームはコートの真ん中に引かれた1本の線を挟んで、中に鈴が入ったバスケットボール大の固いボールを転がし合う。コートの外にいる者は声を出してボールの行方を教えたり、指示を出したりしてはならない。

ボールがあなたの方へと転がってくる。わずかな鈴の音を頼りにして、あなたは聴覚だけでそのボールの動きを把握し、受け止める。ボールの重さは1.25キロ、勢いのついたボールを下手に受け損ねると、激しく指や手首を痛めることになる。

受け止めたボールはあなた自身が直接投げ返してもいいし、味方にパスをして相手チームを欺いてもいい。大事なのは相手のゴールがある方向を見失わないこと、味方と敵の位置をすぐさま認識することだ。

前半12分、ハーフタイム3分、後半12分。ボールが相手3人の間を抜け、後ろにある白いゴール(短辺の長さと同じだ)に転がり込めば得点となる。

ゴールボールとはそういう競技だ。

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