スポーツチャレンジ賞
それは職業安定所からの帰り道だった。
彼はある職業訓練学校の前を通りかかり、学校の壁に張り出された何枚かの張り紙のひとつにこんな文字が書かれているのを見た。義肢科。義肢って言うのは、たぶん義足とかのことを言うんだろうな。そう考えた次の瞬間、彼は一人の女性のことを突然強く思い出した。
彼女は彼が小学6年生のときのクラス担任だった。大学を卒業したばかりの若いはつらつとした女性教師だった。しかし彼女は夏休み前、彼と彼のクラスメートの前からある日姿を消す。聞くところによると、先生は重い病気にかかってしまい、しばらく入院することになったそうだった。
6ヶ月後、もうすぐ卒業という季節に、先生は再び教室に戻ってきた。以前と違って、彼女は足を引きずりながら歩いていた。
いったい先生はどうしたんだろう?
骨肉腫という病気のせいで足を切断しなければならなかったの、彼女は彼にそう教えてくれ、スラックスの下にある新しい脚を触らせてくれた。それはコツコツとしたなんだか固い感触の脚だった。
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