スポーツチャレンジ賞

このページをシェア

YMFS SPORTS CHALLENGE AWARD SPECIAL CONTENTS

TOSHIAKI HIROSE × SHINYA MAKABE

ラグビーワールドカップ日本大会が残したもの

YMFS2019年のラグビーワールドカップ2019日本大会は大成功に終わり、日本におけるラグビーの立場も随分と変わりました。あの大会が残したものについてはどうお考えでしょうか?

廣瀬私自身は、スポーツの価値、スポーツは何を与えられるのか、ということだったと思います。スポーツというのは本当に素晴らしいものだな、と。そして、海外のラグビー選手、海外のファンの人たちが、日本を好きになってくれたことですかね。

真壁ラグビーという競技の面白さをこの国で初めて多くの人にわかってもらえたのが2019年だったのではないかなと感じています。15人が仲間のために戦い、試合が終わればさっきまで敵味方として戦った者全員が仲間のような存在になる。選手だけではなくて、ファンもそう。これって海外では普通にあったカルチャーなんですけど、日本にはなかなか伝わりにくかったんですよね。

廣瀬その通りですね。

真壁日本のラグビー熱というのは、大学ラグビーからなかなか脱却できていなかったし、2015年のワールドカップでかなり注目された時も、マスコミやファンの人の視線は限られた選手にしか向かなかった。それが今回は、稲垣選手や具選手、たくさんのプレーヤーが注目されましたよね。

廣瀬ラグビーは色々なキャラクターがいて初めて成り立つ競技だから、そういう意味でも今回はこの競技の魅力がより具体的に理解されたんだなと思います。15人でやっている時点で、ラグビーって実はとても特殊な競技だと思うのですが、ある意味でラグビーというスポーツの概念がしっかりと広まった、それが2019年の意義だったようにも思います。

真壁僕は初戦のロシア戦の会場の雰囲気を見た時、ああこれで日本ラグビーは大丈夫だなって思いました。あの時は、廣瀬さんの顔とか頭に浮かんだんですよ。日本ラグビーをなんとかしたい、って熱く語ってきた人たちのことが。これすごい景色だな、これが見たかったんだよな、って。で、俺はもうこれでいつでもラグビーやめられるな、って、笑。そこから一人のラグビーファンに変わっちゃいましたから。

廣瀬僕にとってもあの風景はものすごく特別なものでした。だってあの空気の中に、日本人がいて、みんなが日本代表の赤白のジャージを着てくれているわけです。そして目の前で行われているラグビーの試合を、日本の人があそこまで喜んでくれている、本当に驚きでした。僕自身がずっと、こうだったら嬉しいな、と願ってきたことが現実になった、そんな感覚でしたね。日本が大会で敗退して以降も、多くの人が会場に足を運び、あるいはテレビを通してラグビーを観続けてくれたことも、大きな喜びでした。

真壁あそこまで盛り上がることになるとは、正直なところ思っていませんでした。僕は組織委員会の方々と繋がりがあって、彼らが死に物狂いで大会の準備に携わっていたのを知っていたんです。でもその活動に対しての世間の反応は全然良くなかった。だから開幕するまでは、不安でしかなかったです。こんなに頑張っている人たちがいるのに、なんで手応えをつかめずにいるんだろう、と。だからこそ、さっきも言いましたけど、ロシア戦を見たときに、ああこれでもう大丈夫だってホッとしたんです。

YMFSそんな中、廣瀬さんはスクラムユニゾンという活動を通じて、ラグビーを盛り上げようとしていたわけですよね。

廣瀬結果的には、やはり日本代表の大躍進も大きかったですけどね。それと、活動に参加してくれた子供たちの力も大きかったです。選手と一緒に国旗を掲げて入場するキッズが、ものすごく大きな声でその国の国歌を歌ってくれて、それが海外メディアで大きな話題になったり。

YMFS真壁さんはスクラムユニゾンの活動のことはご存知でしたか?

真壁もちろん知っていましたし、さすが廣瀬さん、すごいことやってるなあ、とは思っていましたけど、まさかこんな大きなムーブメントになるとは想像してなかったです、はい、笑。僕の好きな国歌ですか?ニュージーランドの国歌とか歌えたらかっこいいなって。あと、ベタですけど、やっぱりアメリカの国歌はかっこいいですよね。

廣瀬僕はアイルランド、南アフリカ、そしてやっぱりニュージーランドですかね。でもその3カ国に限らず、国歌ってどこの国の歌もよく考えられているし、美しいと思います。

<次のページへ続く>



「BACK STORIES」トップにもどる
「スポーツチャレンジ賞」トップにもどる

一つ前のページにもどる