スポーツチャレンジ賞

彼女の周りで生まれる様々な変化に心惹かれて

瀬立2019年から越智さんが沖縄に来るようになってから、競技者としての自分だけではなく、普段の自分も撮ってもらうようになりましたよね。凪いでいる沖縄の美しい海でカヌーを漕いでいるところとか、自分がやりたかったことを越智さんが写真に残してくれるのが本当に嬉しくて。
越智モニカさんの写真を撮っていて楽しい、というのはもちろんあったのですが、僕が何度も沖縄に足を運びたくなったのは、彼女の周りで生まれる様々な変化に心を惹かれたからだと思うんです。
YMFS変化というのは?
越智瀨立モニカという一人のパラアスリートが現れたことで、その土地に住む周りの人もどんどん変わっていったんですよ。合宿地の大宜味って沖縄本島北部に位置する小さな村なんですけど、その村の人たちは最初彼女のことを見て見ぬふりをしていたんですよね。パラアスリートが来ることは知っていたけれど、車椅子に乗っている若い女性を見たことがなかったから。
瀬立村で車椅子に乗っているのはお年寄りばかりですもんね。

越智それが、ある日彼女の練習に並走しているボートが故障したことがきっかけで、彼女のチームと村の住民との間に接点ができたんです。ちょっとこれ直してもらえませんか、と。そこからモニカさんに対する村の人々の意識が変わっていくんですが、湾の近くで小さな商店を営んでいる宮城金一さんの言葉がすごく印象に残っています。彼は、「ありがとう!」とお礼を言ったモニカさんの笑顔がすごくきれいだった、と表現しました。そのモニカさんは今や村のアイドルです。お爺たちはみんな誰もがモニカさんの車椅子を押したがりますから、笑。
YMFSモニカさん自身も、越智さんと出会ってから起こった変化のようなものはありますか?
瀬立車椅子での生活になってから、実は私は写真を撮られるのがちょっと苦手だったんです。例えば普通に立っている人と写真を撮ると、その写真を見て、やっぱ身長が、とか、デコボコしてるなあ、なんて。やっぱ私は車椅子なんだなあ、って不意に感じる時があったんですよ。でも越智さんが写真を撮ってくれることで、どんどん車椅子の自分が好きになっていけたんです。なんだか魔法みたいですよね。
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