スポーツチャレンジ賞

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YMFS SPORTS CHALLENGE AWARD SPECIAL CONTENTS

TAKAO OCHI × MONIKA SERYU

「越智さんのカメラの前では素の自分を見せられます」

YMFS逆にモニカさんにとっての越智さんの第一印象は?

【対談】越智貴雄×瀬立モニカ フォトグラファーとパラアスリートの幸福な関係

瀬立越智さんってこのルックスなので、すごく親しみやすいじゃないですか。だから初対面からすんなり打ち解けることができました。越智さんは雪の中、他のカメラマンさんとは全然違うところにポジションをとって、じっと寝そべってカメラを構えていましたね。その姿がもう衝撃的すぎて、笑。

YMFSその旭川の合宿から少しずつお互いの距離感が縮まってゆくわけですね。

越智インタビューが終わった時には、じゃあカヌーの方にもお邪魔させてもらっていいですか、ということになって、そのあとすぐにカヌーのトレーニングも見させてもらいました。

【対談】越智貴雄×瀬立モニカ フォトグラファーとパラアスリートの幸福な関係

瀬立ものすごく寒いのに水の中に入って撮影し始めて。カメラマンさん、風邪とか引かないかなって心配してましたよ。

YMFSアスリートの中には、カメラマンの存在とか、シャッター音が気になってトレーニングに集中できない、と言う方もいますが。

瀬立私は全然平気です。越智さんは沖縄での合宿中でも、誰よりも長く現地に滞在してくれて、本当にさまざまなシーンを撮ってくれるんです。私にも調子のいい時もあれば悪い時もありますけど、越智さんのカメラの前ではちゃんと素の自分を見せられます。

YMFSだいたいどのくらい滞在するものなのですか?

越智僕は一度沖縄に行くと、1週間から2週間くらいはトレーニングに帯同させてもらって、写真を撮っていますね。

瀬立越智さんの写真を見ていると、わーこんな風に見えるんだ、こんなことが起こっているんだと、自分では気づかなかった発見や感動があるんです。私のチームの人たちも、わー!これ絶対おっちーが撮った写真やろ!ってすぐにわかりますから。鉄棒にぶら下がっているところだったり、星空と一緒に撮ってほしいとか、ちょっと無理なリクエストを出したりもして、笑。

YMFS越智さんは以前、競技としてのパラにはもちろん興味があるけれど、それ以上に、選手たちがいかにして目標に向かっていくか、目標を超えていくか、というところに惹かれる、とおっしゃっていました。モニカさんを追いかけ始めたのも、そういう考えがあってのことだったのでしょうか?

越智2000年からパラリンピックを取材してきて、自分の中で一つ決めていたことがあるんです。それはパラスポーツを競技としてしか見せないということ。それまでパラアスリートという存在は福祉という視点からしか取り上げられなかったし、新聞のスポーツ面で取り扱われることがありませんでした。しかし僕自身は、パラスポーツは競技スポーツなんだという確信があったんです。だから自分は、パラスポーツを競技としてしか発信していかない、と決めていたわけです。

【対談】越智貴雄×瀬立モニカ フォトグラファーとパラアスリートの幸福な関係

YMFS確かに競技としてパラスポーツが認められ始めたのは、ここ最近のことですね。

越智でも、モニカさんを取材し始めて、その考えが僕の中で壊れていったんですよね。

瀬立確かに最初は競技者としての私の姿を追いかけてもらっていましたね。半年に一回ずつ、大会とトレーニングと、みたいなリズムで。

越智彼女が東京で練習している旧中川では、すごくたくさんの人が彼女のことを応援しているんですよね。地元の人たちと繋がりながら一緒に進んでゆく、その光景を見ているうちに、そうかこれも瀨立モニカというアスリートを作り上げているものの一つなんだ、って気づいたんです。そこからアスリートと周りの人々のつながりというものを撮るようになったんですが、それはものすごく大きな変化でしたね。

<次のページへ続く>



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