調査研究

このページをシェア

2021(令和3)年度

トップスポーツと地域住民に関する調査
-地域におけるトップスポーツクラブ・球団のファンの特徴-

報告書の概要

トップスポーツチームが活動拠点を有する6つの都市を選定し、ファン・サポーターの特徴について調査を実施した結果をまとめております。

報告書をダウンロード


調査内容

地域におけるスポーツ振興に繋げることを目的に、その基礎的な属性、運動/スポーツの実施状況などとともにトップスポーツチームの存在や活動に対する地域住民の意識について、調査を実施した。

調査手法

インターネットによる調査


対象地域

6都市を調査

(都市規模と地域性、クラブ・球団の当該都市での活動期間、地域のソーシャルキャピタル、競合フランチャイズの有無などを考慮して選定)

サンプル数

各都市400サンプル、6都市合計で2,400サンプル


実査期間

2020年3月24日〜3月27日

成果

ファンとサポーターの、①チーム(クラブ)への関心・関与、②「性別」、「年齢」、「ファン歴」、「運動経験」、「部活動経験」などの特徴、③チーム(クラブ)の地域貢献に対する評価、④ソーシャルキャピタル、⑤地域愛着について報告している。


期待されるベネフィット

  • 自治体:日本各地の自治体のスポーツを通した地域振興施策の策定
  • トップスポーツ組織:ファン・サポーターの特徴が見えてくることで、地域連携活動の施策立案などに活用

[第1章]地域におけるトップスポーツクラブ・球団への関心・関与

内容 AIDMAやAISASといったマーケティングの消費行動モデルに基づき、クラブ・球団に対するファンの関心・関与の程度(関与度)に関する調査結果を報告。
結果 NPB球団のホームスタジアム所在都市(市)ではNPB球団へ高い関心・関与を示すファンが多い。地方都市に目をむけると、Jクラブに対する関心・関与は、高くなっている。

報告書・第1章をダウンロード


[第2章]地域におけるトップスポーツクラブ・球団のファンの特徴

内容 ファンの特徴について、「性別」、「年齢」、「ファン・サポーター歴」、「出生地」、「運動習慣」、「部活動経験」といった項目の調査結果を報告。
結果
  • JクラブとNPB球団の両方のフランチャイズが所在する都市(市)では、両クラブ・球団のファンは多くの割合で重複している。
  • Jクラブ・NPB球団のファン・サポーター歴(対象者の平均値)は、クラブの設立もしくはフランチャイズ移転後の年数に概ね相関している。
  • Jクラブ、NPB球団いずれのファンも、「男性の比率が高い」、「当該都市が出生地である者の比率が高い」、「運動習慣がある者の比率が高い」、「中学・高校での運動部経験率が高い」といった特徴がある。

報告書・第2章をダウンロード


[第3章]地域におけるトップスポーツクラブ・球団への社会的評価

内容 地元のトップスポーツクラブ・球団について、ファン・サポーターのクラブ・チームの評価に関する結果を報告。
結果 Jクラブ、NPB球団いずれのファンも、各クラブ・球団の社会的貢献や役割を高く評価している。

報告書・第3章をダウンロード


[第4章]トップスポーツクラブ・球団ファンのソーシャルキャピタル

内容 トップスポーツクラブ・球団が地域に存する意義を考えるにあたり、ファンと非ファンのソーシャルキャピタルの特徴について調査した結果を報告。
結果
  • ソーシャルキャピタルは、地方中都市で高い一方、大都市では低い
  • Jクラブ、NPB球団のファンは非ファンに比べてソーシャルキャピタルが高い

報告書・第4章をダウンロード


[第5章]トップスポーツクラブ・球団ファンの地域愛着

内容 トップスポーツクラブ・球団のファンと非ファンを「地域愛着」という視点から評価する調査を実施し、そのそれぞれの特徴について報告。
結果
  • 地域愛着は、都市間で有意な差があり、特に地方都市で高く、首都圏で低い
  • Jクラブ、NPB球団のファンは非ファンに比べて地域愛着が高い

報告書・第5章をダウンロード


報告書に関するコメント

岡本 純也
(一橋大学大学院 経営管理研究科 准教授/当財団トップスポーツ・プロジェクトリーダー)

本プロジェクトでは、わが国のスポーツと地域振興の未来像を描くため、これまで、プロスポーツや実業団スポーツなどを「トップスポーツ」という枠組みで捉え、プロ・アマ問わず、国内トップレベルの競技力を持つチーム(クラブ)と地域との関わりについて調査を実施してきた。

その背景には、Jリーグが取り組む「シャレン!」(社会連携活動)が示すように、人口減少や少子高齢化、経済格差の拡大など、地域が抱える課題に対して、スポーツ組織・リーグが共に考え・動くという動向が多くみられるようになってきたことがあげられる。

スポーツは境界を越える世界共通の文化である。したがって、地域に拠点を置くトップスポーツチーム(クラブ)は、地域社会のメンバーであると同時に日本全国、世界全体のスポーツ愛好者、スポーツ組織と深い繋がりをもった存在である。ある地域に課題があり、それに対してスポーツチーム(クラブ)が共に解決策を探るとき、同様な課題を抱えた他地域のチーム(クラブ)の取り組みが参考となり、知見を蓄積すれば、当該地域とチーム(クラブ)の経験が他の地域に貢献することにもなるのである。そのようにスポーツ組織・リーグを捉えるならば、エンターテインメントとしてわれわれに喜びをもたらしてくれる地域のチーム(クラブ)は、スポーツの興行やスポーツ教育の提供者以上の存在として地域振興に関わるものとなる。

今回は日本各地の6都市を選定し、NPB球団ファンとJリーグサポーターの①チーム(クラブ)への関心・関与、②「性別」、「年齢」、「ファン歴」、「運動経験」、「部活動経験」などの特徴、③チーム(クラブ)の地域貢献に対する評価、④ソーシャルキャピタル、⑤地域愛着について調査を実施した。本調査は「非ファン」も含めた各都市の住民を対象としているため、ファン/非ファンの比較によってその都市ごとのファン・サポーターの特徴を浮かび上がらせる結果が得られている。また、いずれの地域のファンもソーシャルキャピタル(人々の周囲の者への信頼の程度や社会参加の度合いを測る指標)が高く、地域愛着(地域に対する愛着感情の指標)も高いという結果が示された。地域のスポーツチーム(クラブ)は、自発的な地域活動に参加し、今後地域に貢献したいという希望をもつ「アツい」人々に取り囲まれているともいえよう。

本調査の結果が、日本各地の自治体のスポーツを通した地域振興施策の策定やスポーツ組織の地域連携活動の施策立案などに貢献するものとなれば幸いである。


報告書ダウンロード
報告書全文 ダウンロード
表紙、はじめに、結果の概要、目次 ダウンロード
報告書概要調査の概要、 主な調査内容、調査手法、対象地域、サンプル数、実施期間等 ダウンロード
[第1章]地域におけるトップスポーツクラブ・球団への関心・関与マーケティングの消費行動モデルに基づきファンの関心・関与の程度について調査 ダウンロード
[第2章]地域におけるトップスポーツクラブ・球団のファンの特徴Jクラブファン・NPB球団ファンの特徴について調査 ダウンロード
[第3章]地域におけるトップスポーツクラブ・球団への社会的評価ファン・サポーターのクラブ・チームの評価について調査 ダウンロード
[第4章]トップスポーツクラブ・球団ファンのソーシャルキャピタルソーシャルキャピタルの構成要素(ネットワーク・信頼・規範)の視点より調査 ダウンロード
[第5章]トップスポーツクラブフ・球団ファンの地域愛着ファンと非ファンを「地域愛着」という視点から調査 ダウンロード
調査メンバーより ダウンロード
参考文献、資料、報告書作成メンバー ダウンロード
調査票 ダウンロード

「調査研究」トップにもどる

一つ前のページにもどる