第10回 YMFSスポーツ・チャレンジャーズ・ミーティング

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スポーツ討論会

日時 3月3日(金) 15:45〜17:15
ファシリテーター 山浦 一保
立命館大学 スポーツ健康科学部 教授
公益財団法人ヤマハ発動機スポーツ振興財団 スポーツチャレンジ研究助成 第5期生
テーマ チャレンジをより高めるための心の持ち方、高め方
討論概要 少し考えを巡らすと、「心」を含む漢字や熟語が実に多いと気がつくことでしょう。それほどに私たちは様々な活動や経験をし、感情がぶつかり合っているということです。
私たちとともにある「心」について、その存在の大切さを認識してはいても、直接目に見えないために得体が知れず、日常の中では後回しにしてしまいがちなものでもあります。
そうした中でも、エクセレントな指導者(リーダー)は、他者を含んで自己を理解する自己認識力の深化に非常に優れると言われます。
今後のさらなるチャレンジ、そして社会に貢献し未来を開拓・変革し続けることができる、強くしなやかなマインドとはどのようなものなのか。このYSCMの機会を通して、「心」のもつ意味、「心」の波長と向き合い方を軸に、参加者皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

スポーツ討論会では、平成28年度の中間報告会で討論したテーマ「チャレンジをより高めるための心の持ち方、高め方」について、山浦一保先生をファシリテーターにグループディスカッションを行いました。

チャレンジャーたちは、事前に出された課題の「心のつく熟語」をモチベーションシートにマッピングすることで「心の見える化」に挑戦。人間の心にはゆらぎがあることを認識し、未知の世界や極限の状態で自分の心がどう動き、またどう対応すべきかをグループに分かれて話し合いました。

山浦 一保(立命館大学スポーツ健康科学部教授、公益財団法人ヤマハ発動機スポーツ振興財団 スポーツチャレンジ研究助成第5期生)

よくわからない、つかみどころのない、しかも目に見えない人間の「心」。私たちは慌ただしい日々を送る中で、ついこの心を後回しにしてしまう。チャレンジャーの皆さんは、スポーツや研究活動を通じて、おそらく「次の試合はこういう展開にしよう」「こんなふうに研究を進めてみよう」と考えるのではないかと思う。でもそれは、だいたい想定内のこと。大切なのは、未知の世界や思いがけない展開になった場合の極限状態で、自分の心がどう動くのかを知っておくこと。なぜかといえば、人間の心にはゆらぎがあるから。

技術、知識、技能、身体、そして心。望むパフォーマンスを得るためには、これらの要素の向上が欠かせない。そしてそのパフォーマンスの良し悪しは、これらの掛け算によって左右されると私は考えている。こうした要素の中で、プラスの状態からマイナスの状態まで大きく振れるのは心だけ。だとすると、どれだけほかの要素が良い状態にあったとしても、心がゼロやマイナスとなったら望むパフォーマンスを手に入れることはできない。

「心の見える化」に取り組んだことで、皆さんそれぞれにとって望ましい心の状態を知るきっかけになったかもしれない。極限においての心の高め方、そのレパートリーを増やし、それぞれのチャレンジに結びつけていってほしい。

心は見えないが、大切なもの。そして試合会場で最後の最後までコントロールに取り組めるのも心。それを知ることが、皆さんが自分自身を助けることにつながると思う。


ファシリテーター

スポーツ討論会

プロフィール

山浦 一保(やまうら かずほ)

2003年広島大学大学院生物圏科学研究科博士課程(環境計画科学専攻)修了。2000年財団法人集団力学研究所研究員、2002年中央労働災害防止協会調査研究部リサーチ・レジデント、2005年静岡県立大学経営情報学部講師、2010年立命館大学スポーツ健康科学部・研究科准教授、2016年同教授。
産業組織心理学会理事、日本学術振興会特別研究員等審査専門委員社会科学領域などを歴任
専門:産業・組織心理学/信頼ベースのリーダーシップ/人間関係構築に関する心理学的研究


  • ※2017年2月21日現在
  • ※敬称略