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[Case22]サッカー×片足スキーで、冬の体育をみんなで楽しもう

提供教材:サッカーボール
http://www.city.ojiya.niigata.jp/chidasyo/

小千谷市立千田小学校(新潟県小千谷市)

教務主任の松本茂行先生(左)が顧問を務める課外スキー部のみなさん

雪国の体育の授業では、スキーをする子どもたちを良く目にします。中でも代表的なクロスカントリースキーは運動量も多く体力的にもちょっぴりハード。さらには、雪や雨、吹雪の中での練習がつらいために子どもたちの運動意欲が低下してしまうこともあるのだとか。
そんな中、「サッカーなら得意」という児童の声をヒントに、「まずは、みんなが楽しんで運動できる」ようになるために、千田小学校では、スキーの練習にサッカーを取り入れた授業に取り組んでいます。

実践内容

スキーの練習にサッカーボールを取り入れて、レベルアップ

千田小学校の授業や課外スキー部で取り組んでいるスキー。より楽に、より速く滑るための走法のひとつ、「ダイアゴナル走法」は、前の足に重心をかけて滑るのだがなかなか難しい。そこで、楽しみながらゲーム感覚で自然と身に付くことを期待して、スキーの練習にサッカーを取り入れた。


ポイント:ボールを使った片足スキーおにごっこで、ウォーミングアップ

ウォーミングアップに、片足スキーおにごっこ。タッチの代わりに小さいプラスチックボールやサッカーボールを使い、スキー同士の接触を避けながら逃げ回る。おにから速く逃げるにはスキーを履いた側の足で長く滑るのが有利。スキーを履く足を左右換えながら、両足バランス良く滑ることに馴れていく。「ボールをキャッチしたら、おににならなくてもよい」、というルールは、子どもたちの発案。

ポイント:片足スキーサッカーを楽しみながら、滑り方も上達

おにごっこで片足スキーに十分馴れたところで、片足スキーサッカーを実施。片足に履いたスキーに体重をかけてスーッと長い距離を滑ると、空いているサイドを駆け上がりパスを受けてシュートができる。そうして、サッカーを楽しみながら、片足に重心を置く滑り方が自然に身につく。巧みに片足で長く滑らせている児童がいると、すかさず「上手く乗れているね、その調子」と声をかけることも上達のポイント。

全員でサッカーを楽しむために

サッカーが得意な児童だけが活躍するのではなく、“みんなが楽しい”体育の授業を目指し、児童たちからの提案も取り入れながら、ルールを工夫している。

ポイント:すべての児童が楽しく活躍できるような工夫を

サッカーのルールにも、ひと工夫

  • 1チームの人数を少なくして、ボールに触れる回数を増やす
  • 運動が苦手な子でもボールに触れるように、特定の人しかパスを出せないゾーンを設定
  • ゴールしやすいように、少し大きめのゴールを用意
  • 女子がゴールしたら2点!
  • 1回ゴールを決めた人は、続けてゴールはせずに、アシストに回る

効果

  • 当初は、スキーを滑らせるのではなく、ただ走るという感じだったが、おにごっこで逃げたり、サッカーで攻め上がるときに、「より速く滑る」必要性から、スキーを滑らせる児童が出始めた。それが周りに波及し、「片足に重心を乗せ、スキーを滑らせる意識」が高まった。そこからクロスカントリースキーの基礎であるダイアゴナル走法(交互滑走)の技能向上にも結びついた。
  • 寒さが嫌いでスキーに苦手意識をもっていた児童が、サッカーは得意だと意欲的に取り組んでいた。普段のサッカーと違って思い通りに動けない分、良いポジショニングでゴールを決めると大変楽しそうで、その後も「雪上サッカーやろう」と盛り上がりを見せた。
  • みんなが活躍できるように、自分たちでルールを工夫するようになった。

指導者の想い

全員が楽しんで運動できるように
教務主任 松本茂行先生

全児童が100%楽しい体育の授業は、正直難しいと思います。でも、苦手なことを得意なことと掛け合わせたりすることで、みんなが“そこそこ楽しかった”と思ってもらえるような内容を心がけています。

今回の片足スキーサッカーは、主に4年生児童と課外のクロスカントリースキー部を対象に行ないました。

スキーの練習と感じさせることなく、おにごっこや片足スキーサッカーといったゲームのなかで、競技に必要な基本的動作が自然と身に付き上達しましたし、なにより、スキーが苦手だった子どもが、ボールと組み合わせることで、吹雪の日でも「雪上サッカーやろう」と楽しそうにしていた姿が印象的でした。楽しいと感じてもらうことの重要性を改めて実感しましたね。

(2018年3月取材)