調査研究

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2019(令和元)年度

障害者スポーツを取巻く社会的環境に関する調査研究
-地域現場、障害者スポーツ選手キャリア、大学に着目して-

地域現場における実態調査について

背景・狙い

2017(平成29)年度より「地域現場の実態」を明らかにすることで、環境課題をマクロとミクロの視点で捉え、より立体的な把握を目指す活動を開始。これにより、“障害者スポーツの現場で役立つ、リアリティー感ある調査成果”を目指す。(本調査は本年度で継続3年目。第1回目:静岡県、第2回:福岡県・福岡市・北九州市。)


調査対象

下記理由より岩手県を対象とした。

  • 大型障害者スポーツ大会(2016年全国障害者スポーツ大会)開催後の環境が把握できる事。
  • 県の障がい者スポーツ協会以外に、政令指定都市以外では珍しい市町村単位の障がい者スポーツ協会を有している事。
  • 東京2020開催決定で社会インフラの急激な発達や環境の激変地域に該当しない事。
  • 東京圏(東京2020オリンピック・パラリンピックの影響を考慮)と中部・九州圏(過去に調査実施済の地域)に該当しない事。

調査結果

  • 岩手県には、岩手県全域が活動範囲の岩手県障がい者スポーツ協会、岩手県障がい者スポーツ指導者協議会と、一関市を中心に県南地域が活動範囲の一関市障がい者スポーツ協会がある。
    (一関市障がい者スポーツ協会は、全国的にも珍しい政令指定都市ではない一般的な地方都市にある協会である。一関市スポーツ協会の傘下である為、有機的な連携をしながら様々なイベント、スポーツ教室等を計画的に推進している)

  • 岩手県内の各協会は、県境を挟んで交流事業を行うなど、県のボーダーを越えて、広い視野で事業活動に取り組んでおり、高齢化・過疎化が進む地方都市でのスポーツ振興モデルと言える。
    (EX:宮城県北部地域の栗原市、登米市。宮城県気仙沼市など。)

  • 大会の参加選手は、男性約64%、女性約35%。平均年齢は33.6歳。施設利用者・就労予定者を含む無職、生徒・学生が大半である。
    スポーツを始めたきっかけは福祉関係者のすすめが最も多く、次いで学校の授業やクラブ活動、家族のすすめ、友達や知人のすすめである。
    目標は、県大会出場が最も多く、パラリンピックを頂点とする競技スポーツのピラミッド構造を志向するのではなく、身近で具体的な目標となっている。

  • スポーツ教室受講者は、男性、40代〜70代の中高年齢層の割合が多い。内容は卓球バレーが群を抜いて高い。スポーツを始めるきっかけで最も影響が強かったのは福祉関係者のすすめであり、過去に実施した地域調査結果とは異なり、医療関係者やコメディカルの影響が強いことが特徴。

  • 障がい者スポーツ指導員は、男女比7:3。年齢層は20代〜70代まで幅広い。若い指導者も3割ほど占め、指導者育成や運動指導場面における年代間の好循環があると考えられる。

  • スポーツ教室受講者・指導員について、東京2020大会開催決定以降、障害者スポーツに関する話題をメディアで観る機会や話題にする人が増えている。また東京大会への興味関心は、テレビを通しての視聴に対する意識は高いが、直接観戦に関しての受講者の意識は低い。


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