チャレンジの軌跡

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2007年11月7日

馬と駆け抜けた青春
~挑戦を支えてくれた家族の理解と師弟愛~

荒 美咲
氏名 荒 美咲
競技名 馬術/選手

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馬と駆け抜けた青春
~挑戦を支えてくれた家族の理解と師弟愛~

「ラストランだよ。がんばろうね」と愛馬ブリヂストンの首をそっと叩いた。ことし10月に開催された「秋田わか杉国体」の馬術競技に静岡県代表として出場した荒美咲さん(18歳)は、この大会で長年親しんできた馬術競技に一応の終止符を打つことにしていた。そして同い年の愛馬もこの大会で引退する。

荒さんの種目は「少年標準障害飛越」。前に騎乗した選手たちが次々と失敗するなか、10番目にスタートした荒さんは落ち着いた騎乗ぶりで次々に障害をクリア、みごと減点0でジャンプオフ(決勝)に駒を進めた。「減点なしで戻れて嬉しかった。心の底からブリヂストンにありがとうと声をかけた」と荒さん。数あるスポーツのなかで、動物をパートナーとする馬術競技は人馬の信頼関係が成り立って結果が出る。帰ってきた両者のいい表情は感動的でもあった。ジャンプオフではわずかな踏み切りのミスが響いて6位に。それでも目標にしていた国体3年連続出場と上位入賞を果たし、「みなさんのおかげでここまでこれた。感謝の気持ちでいっぱい」と晴れやかな笑顔を見せてくれた。

小学5年生の夏休みの体験乗馬ですっかり乗馬のとりこになった荒さんは、乗馬クラブ「ニューシーズン御殿場」に通うことになる。同クラブ代表の中馬薫さんは「なにしろ熱心で、乗馬センスも抜群だった。障害を飛ぶようになってから大きな可能性を感じ、海外遠征に二度ほど同行もさせた」。そんな彼女が3年前に国体にはじめて静岡県代表として出場して以来、ここ一番に力を発揮できる選手に大きく飛躍したという。

8年間の乗馬生活を振り返って「馬が好きな普通の女の子が、まさか国体に出場するまでになるとは、自分でもびっくり」。もちろん、その間にはスランプや大きな壁に何度もぶち当たる。ひとつ上のクラスになるたびに“怖さ"が出てくる。それは自分で克服して前進するしかない。「高校2年の時、ある大会で130㎝障害に初めて挑戦。高くて怖かったけれど、踏み切りやリズム、馬のコントロールなど本当に納得できる走りができた。それが自信にもなったし、馬術競技の楽しさを自分のものにすることができたという。

写真中央が荒さん

乗馬はやはり費用がかかる。まして馬術競技に出るとなると馬の輸送など、遠征費用はかなりの額になる。家族はもちろん、乗馬クラブや周囲の支援が不可欠だ。ご両親の「一生懸命やるのなら、できる限りの援助はしたい」という理解やクラブの全面的なバックアップ。荒さんは「感謝してもしきれない」という。また「自分の夢を実現するための活動のなかで、乗馬技術の向上だけでなく、触れ合った人たちから、人への思いやりや挑戦する気持ち、努力することの大切さをたくさん学んだ」と述懐する。チャレンジするひたむきな姿は周囲をも大きく動かす。

乗馬中心の生活に「正直言って逃げ出したいときもあったけれど、みんなが背中を押してくれた。そして目標を持てることの幸せを感じることができた」という荒さん。来春には社会人として新たなスタートラインに立つ。馬術というスポーツを通じて学んだ「挑戦する心」は、新しい馬場でもきっと生かされるに違いない。




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