ニュース

当財団の事業活動や助成対象者の皆さんの最新の状況をお知らせします

言上智洋氏(スポーツチャレンジ助成第7期生)の研究論文が、「European Journal of Applied Physiology」に原著論文として掲載されました

スポーツチャレンジ助成第7期生の言上智洋氏が取り組まれた研究「Differences in kinematics and energy cost between front crawl and backstroke below the anaerobic threshold.」が「European Journal of Applied Physiology」に原著論文として掲載されました。

掲載誌名 European Journal of Applied Physiology, volume 118, Issue 6, pp1107-1118, 2018 European Journal of Applied Physiology,
題名 Differences in kinematics and energy cost between front crawl and backstroke below the anaerobic threshold.
著者 Tomohiro Gonjo, Carla McCabe, Ana Sousa, João Ribeiro, Ricardo Fernandes, João Paulo Vilas-Boas, Ross Sanders
論文題名の和訳

クロール泳と背泳ぎ泳の低強度時におけるエネルギー効率と動作特性の違い

英文抄録の要約(和訳)

目的:本研究の目的は低強度および同スピードでのクロールと背泳ぎの動作特性とエネルギー効率の違いを定量化することとした。

方法:10名の男性競泳選手が事前に設定された低強度泳速でのクロール泳およぎ背泳ぎ泳を行った。泳者の泳速は視覚デバイスにてコントロールされ、エネルギー効率は酸素摂取量測定より、動作は映像を用いた三次元動作分析より解析された。動作指標の解析項目はストローク頻度・ストローク長・手足の三次元的な動作スピード、鉛直及び横方向の手足の動作の幅とした。詳細な分析のために、1ストロークはエントリー、プル、プッシュ、リリース、リカバリーの5局面に分割の上解析を行った。

結果:ストローク頻度・ストローク長に2ストローク間での有意差は見られなかった。しかしながら、クロールの方が単位距離を進むためのエネルギー消費量が低かった (0.77 ± 0.08 vs 0.91 ± 0.12 kJ/m, p < 0.01)。水中での手足の3次元動作スピードは背泳ぎの方が速く(1.29 ± 0.10 vs 1.55 ± 0.10 and 0.80 ± 0.16 vs 0.97 ± 0.13 m s−1, both p < 0.01) 、足の鉛直方向の動作の幅はクロールの方が小さかった(0.36 ± 0.06 vs 0.47 ± 0.07 m, p < 0.01) 。これらの動作特徴から、クロールの方が背泳ぎよりも推進効率が良いことが推察された。

結論:低強度において、ストローク長・ストローク頻度に違いは無いにも関わらず、クロールの方がエネルギー効率が良いことが判明した。また、動作特性としてクロールの方が背泳ぎよりも推進効率が良いことが推察された。

言上さんのコメント

低強度においてはストローク長(一かきで進む距離)と、ストローク頻度(腕を回す速さ)に違いがないにも関わらず、クロールの方がエネルギー効率が良いという部分がポイントです。このことは、逆に言えば例えばダイエット目的などで泳ぐ際にはクロールよりも背泳ぎで泳いだ方が効果がある、といった可能性があることを示しています。また動作特性から推進効率の違いが推察され、スポーツとしての競泳に関しては、背泳ぎの方がクロールよりもテクニックの良し悪しが勝敗を決める大事な要素となることが考えられます。

言上智洋氏(第7期生)の詳しいプロフィールを見る