活動レポート

校長日記・葉山教室からのメッセージ

海洋教育について(海外レポート)

レポートをPDFでダウンロード2011.10.20

ジュニアヨットスクール葉山校長/箱守 康之


今回は、今年の春まで当スクールのコーチとして長年にわたって情熱を持った指導で、数多くの逞しい子供たちを育成してくださった鎌田 祥一さんから送っていただいた、「英国の子供たちの海洋活動レポート」を紹介いたします。

(現在、鎌田さんはロンドン五輪を目指すアビームコンサルティングのセーリングチームのマネジメントを担当され、選手/コーチと共に多くの海外遠征に同行しています。)


ヨットの本場イギリスのジュニアセーラー候補生たち

鎌田 祥一

私たちアビームコンサルティングチームは、6月末と7月中旬の2回にわたり、2012年に開催されるロンドンオリンピックのセーリング競技の会場となる「Weymouth & Portland Sailing Academy」で合宿を行いました。そして8月1日からは、プレオリンピックが来年の本大会のテストとして行われました。日本からのこの大会への出場は男女1チームずつで、アビームコンサルティングチームからは女子チームが出場しました。最終日のメダルレースへ2位で出場し、1位で出場した地元イギリスチームを逆転して優勝しました。とはいえ、本番への出場はまだ決定しておりません。12月のオーストラリアのパースで行われる世界選手権で日本の出場枠を獲得した日本で1位のチームが出場となります。


さて、今回の合宿を行った「Weymouth & Portland Sailing Academy」は、日本でいえば江の島の湘南港とほぼ同じくらいのハーバーです。周囲には、オリンピックの選手村の建設が着々と進行しています。

われわれの毎日の出艇とほぼ同じ時間に、グリーンのカッパを着た小学校低学年の男女約10人が5組ほどゾロゾロとやってきます。どうやら小学生の体育の授業のようです。そこで見たこと感じたことを書いてみます。


何をするか明確に指示する

一組に2名くらいの若いインストラクターがつき、アルミの棒とプラスティックのドラム缶とロープを使って「筏(いかだ)」の作り方の指導を始めました。

最初はギャアギャアやっていた子供たちもインストラクターに「こうやれ!ああやれ!」と言われ、だんだん真剣に取り組むようになります。


やってみて、やらせてみて評価をする

インストラクター2名で生徒たちにゆっくりと丁寧に説明しながら筏(いかだ)を組み上げました。ここで、ロープの結び方を良く教えていました。いい加減な結び方ではすぐにほどけてしまって、危険だぞ!!といっているのではないかと思いました。

そして、全員に徹底的にやらせています。2時間くらいかけると言っていました。

これは、我々がジュニアヨットスクールに新人が入ってきたときに共通するけど、ここまで時間をかけるか?という感じです。-ここがポイントだぞと力を入れていました。

やらせてみた後は、「もっと強く締めたほうが良い」とか、「結び目が外へ出ると体に当たり痛いから体に当たらない位置で結べ」とか指示をしていました。これは、評価をしているということです。

インストラクターが実際にやって見せているので、評価したときに説得力があるのでしょう。


遊ばせながら、海の楽しみを教えてあげる

筏(いかだ)が完成したら、みんなで乗ってレースです。レース前には、各チームは入念にミーティング。どう戦うか?を徹底的に話し合います。そして、各人の役目を明確にします。最後に、みんなが輪になって気合を入れます。ニュージーランドのオールブラックスが試合の前に気合を入れるように、大声で士気を鼓舞します。みんな楽しそうです。海の楽しさ、怖さもここで教えています。


戦いの後は反省会

インストラクターは、筏(いかだ)の組み始めからレース終了までを細かく観察しており、ノートにメモを取っています。最初にこれを生徒に伝え、必ず生徒にも考えを語らせます。これで、生徒も真剣に取り組みます。


以上のことは、どこでも同じかもしれません。しかし、みんなすごく真剣です。小学生しかも低学年でこんなによくまとまるものだと思います。


チョッと先生に聞いてみました!「これは、授業ですか?」

授業です。小学生では、本当にいろいろなスポーツをさせて「自分は今後何がしたいのか?何が自分に合っているのか?」を考えさせるのが私たちの役目であると言い切っていました。「野球、サッカー、ラグビー等々と並列にヨットもあると考えています。いろいろなスポーツを経験させるのを授業でするのです。選択肢を広げることが非常に大切である。」といっていました。

本人と先生とでどのスポーツをするかを決めるそうです。親は、経済的なことには口を挟みますが、本人主体で先生がフォローすることが殆どだそうです。

各スポーツともにコーチの質と数は十分にいることも自慢していました。

ヨーロッパのメジャーなヨットレースは、毎年3月のマヨルカから始まりますが、殆どのレースでイギリスは1位から3位に入り、一番多くのメダルを持って帰ります。そのベースにこのような筏(いかだ)レースがあるのでしょう。この筏(いかだ)レースは、ハーバー内で堂々とやっています。自然にスポーツに親しむ環境ができているなぁと感じました。

皆様は当たり前のこととお考えでしょうが、

  1. 小学校低学年でこのような授業があることと、スポーツの楽しさを実感させていること。
  2. 本人と先生で進む道を決めること。
  3. 各スポーツのコーチの質が高いことと人数の多いこと。

等に驚きを感じました。

私たちは、10月24日月曜に出発してオーストラリア選手権、セールメルボルンを戦い、パースの世界選手権で男子・女子ともにオリンピックの出場権を獲得して12月21日に帰国する予定です。ぜひ皆様の応援をいただきたいと思います。

また、参考になることを見たり聞いたりしましたら皆様にお知らせしたいと思います。

皆さんいかがでしたか?
当スクールにとって非常に参考になる内容でした。鎌田さん、ありがとうございます。帰国の際には、お土産話をたくさん聞きたいものです。



ロンドン五輪セーリング会場での海洋教育風景(写真提供:鎌田祥一さん)


ジュニアヨットスクール葉山では、子供たちのシーマンシップ習得に熱血な指導と尽力をいただいた鎌田祥一さん




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