全国児童 水辺の風景画コンテスト

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水辺に学ぶ体験レポート:Vol.2

森光一仙絵画教室(高知県高知市)

創作活動と自然体験で育む“人間力”

森光一仙絵画教室では、川遊びや登山を中心とした自然体験活動を行っています。こうした体験を通じて、子どもたちの感性や表現力を磨き、チャレンジ精神を養い、そして何事にも立ち向かうことができる逞しさ“人間力”を高める指導が行われています。

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先生はアウトドアの達人!

御畳瀬港の「出航の準備」の様子を描いた牧 桂史くん(当時小4)の作品は農林水産大臣賞を受賞

高知県高知市にある「森光一仙絵画教室」からは、「全国児童 水辺の風景画コンテスト」に毎年数多くの応募があります。第23回では農林水産大臣賞を受賞した牧桂史くんを含む6名が入賞、3名が入選しました。

この子どもたちが描く絵の特徴は、徹底的な観察をベースに緻密なデッサンを行い、そこに丁寧に色を乗せて作品を作り上げるスタイル。森光先生は「作品によっては150時間程度かけて描くこともありますが、こうした取り組みには、子どもたちの集中力と観察力、そして絵に対する情熱と興味があるからです」と言います。

そしてこの教室のもうひとつの特徴が、四国一帯に広がる豊かな自然を利用して行う「自然体験活動」です。川遊び、キャンプ、沢トレッキング、夏山登山、冬山登山などバラエティーに富んだメニューが揃っており、休日を利用して、子どもたち、そして保護者も一緒になって自然体験を楽しんでいます。

取材を行ったこの日も、子どもたちとその保護者、十数人を連れ、教室から約30分の場所にある的淵川へ出かけました。そこでは先生が先頭に立ち子どもたちを水の中に誘って泳ぎまわり、安全な岩場を見つけては子どもたちのダイブを補助。さらに25mもの滝の滝壺に潜り込むなど、子どもたちは日常生活の中ではなかなかできないことを経験できます。ある子は恐怖心を克服し、またある子は好奇心のままに先生が見つけた自然のアトラクションにチャレンジします。そしてその後には子どもたちの満面の笑みが顔に溢れていました。


自然体験がもたらす効能に着眼

この自然体験活動は、森光先生自身がアウトドアに精通していることもあり、教室を開いた約40年前に始めたと言います。「子どもたちにとっては自然を知り、楽しむこと自体大切なことですが、自然体験を通じて創作活動に役立つたくさんの“ヒント”を得ることができます。それは自然ならではの構図や四季折々の景観、動植物などの質感、匂い、温度などはもちろんですが、なんといっても笑顔の数が創作の際に形や色使いに現れ、一方では創作意欲に繋がって、作品の可能性を大きく広げるのです」。

2歳からこの教室に通う岡村康太郎くん(小6)は「先生がいろいろなところへ連れて行ってくれますが、そこで実際に体験したことや見た生き物を描くことができてとても楽しいです!」と話すように、自然体験が創作活動の中で大きな役割を果たしています。

しかし、自然体験が果たす役割はこれだけではありません。前川青葉さん(中1)は「教室に入ってたくさんのうれしいことがありました。それは“絵が上手になること”“川や山で楽しい体験ができること”、そして“友達がたくさんできること”です」と笑顔で語り、保護者からも「自然の楽しさ、ありがたさ、怖さを知ることができる」「普段は習い事など時間に追われているので、自然の中でリラックスし子どもらしさを取り戻す良い機会になっている」といった声が聞かれ、絵画教室と自然体験の相乗効果で、子どもたちにさまざまな影響を与えていることが分かります。

さらに森光先生は「これらの体験を通して心身の成長や自然への知識が蓄えられる他、仲間たちとコミュニケーションを図り、助け合うことによって良好な人間関係が構築されるなど、創作活動だけでなく、人作りにも貢献しているのです」と言います。


チャレンジ精神と“人間力”

川での体験を生き生きと描いた生徒の作品は、第21回文部科学大臣賞を受賞

子どもたちにとって、岩から川に飛び込む、高い山に登るなど、自然を相手にすることはチャレンジの連続です。実は創作活動もこれと同様で、テーマを決め根気よく自分が満足できる絵を描くことに子どもたちはチャレンジをしているのです。

「私は子どもたちが一歩を踏み出すことができるよう、ほんの少し手を貸してあげるだけで、後は自主性に任せます。子どもたちにしてみれば大変なことだと思いますが、満足できる結果にたどり着いた時には大きな笑顔(喜び)が生まれます。これは私なりの解釈で言うと子どもたちが自分の限界を打ち破った瞬間なのです。ようするに創作活動と自然体験の中でチャレンジ精神を学び、それぞれで目的を達成することで自らの限界を超えて自信を身に付け“人間力”を高めているのです」。

この言葉を裏付けるように、教室を卒業し大学生や社会人となった生徒たちからは「あの頃の経験が今もとても役に立っている」「教室で教えてもらったことは今でも大切な宝物」という言葉が寄せられており、教室での出来事がその後の人生に大きな影響を与えていることが分かります。これに対して森光先生も「子どもたちの中には夢に向かってチャレンジしている子、夢を実現した子がたくさんいます」と誇らしげに語ってくれました。

最後に、森光先生が指導を行っていくうえでの原動力は何かとたずねたところ「情熱」という言葉が返ってきました。今後もこの情熱によって進められる絵画指導、自然体験活動が、子どもたちの豊かな感性を育み、何事にも立ち向かうことができる逞しい人間へと成長させることでしょう。

(2012年8月取材)




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