スポーツチャレンジ賞

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YMFS SPORTS CHALLENGE AWARD SPECIAL CONTENTS

INTERVIEW
MASANORI TAKAYA × TOMOKO HAGIWARA

【対談】髙谷正哲×萩原智子

日本のスポーツを一段階上のステージに

スポーツと同じようなマインドセットだったんです。なかなかあんな素晴らしい仕事にはめぐり合わないだろうな。日常の社会の中では、どこが成功かわからない。招致には勝った負けたがありますもんね。

終わった瞬間に、一段階上のステージに乗ってなきゃいけない

萩原オリンピック・パラリンピックの招致が決まった瞬間は、どうでしたか?もう何回も話されてると思いますが。

髙谷いえいえ、久しぶりです(笑)。もちろん最高に嬉しい瞬間でしたけど、1年くらい経つと、なかなかあんな素晴らしい仕事にはめぐり合わないだろうな、という気持ちになったりもするんです。大学生のときは、トライアスロンのことばかり考えて、勝てば嬉しい、負ければ悔しい、それだけでした。招致活動もある意味で同じようなマインドセットでした。スポーツをやっているときと同じようなマインドで仕事に取り組めることって、なかなかないですからね。

萩原確かに。勝った負けたっていうのが、日常の社会の中ではないですよね。どこがゴールか、どこが成功かわからない。招致には勝った負けたがありますもんね。2020年が決まって、その組織委員会の広報で、中心として働けるなんていう人はそう多くはいないですよね。すごいお仕事だと思います。

髙谷本当にそうなんですよ。自分でも今のこの瞬間をもっとエンジョイしなきゃ損だなっていう気もするんですけど。

萩原私は、実は2020年を招致できたことが勝った負けたじゃなく、成功かどうかはその後だと思うんです。オリンピック・パラリンピックが終わってから、その財産をどういうふうに後につなげていけるのかが、ゴールなんじゃないかと。もちろん2020年のオリンピック・パラリンピックが大成功することは心から祈っています。

髙谷おっしゃる通りです。今日も仲間とそういう話をしていたんです。2020年がゴールじゃないよな、って。これから2020年に向けていろんなことが盛り上がっていくと思いますが、オリンピック・パラリンピックが終わった瞬間に、日本のスポーツ界はいろんな意味で今よりも一段階上のステージに乗ってなきゃいけない、と僕は思います。

萩原パラリンピックのほうも、今、一生懸命組織作りからやっている状況ですが、みんなが不安がってるのは2020年の後のことです。それまではいろいろなところから支援をいただいてやっていけるかもしれないですが、その後それが続くのかと。施設の面もコーチングの面も。

髙谷本当にその通りです。今は、ほとんどの企業が宣伝効果を得るために、アスリートに対して資金を提供したり、スポンサーになったりします。でもこの先の日本におけるスポーツの方向を大きく変えるのは、ブエノスアイレスでのIOC総会のプレゼンテーションで言ったことを達成できるかどうかですよ。スポーツの力、価値をちゃんと世の中に発信してゆき、社会におけるスポーツの価値の向上に貢献する。例えば、アスリートを広告媒体としてではなく、一人のロールモデルとして世の中が認識するようになれば、そういうものに対して企業がお金を出してくれるかもしれない。スポーツの価値が社会でもっと認められるようになれば、スポーツが社会にもたらすポジティブな変化に対して、もっと永続的にお金を出してもらえるような世の中になるかもしれない。僕はそこに少しでも貢献できたらいいなと思っています。
あの荒木田(裕子/日本オリンピック委員会理事)さんがアスナビをやられてるじゃないですか。アスナビの精神ってまさにそこだと思うんですよ。広告媒体、宣伝媒体じゃなくて、個人がロールモデルとして、社員に物差しでは計れない価値を与える可能性を秘めています、と。そこにぜひ投資してくださいっていうプログラムだと思うんですよ。そこが本当に素晴らしいなと思う。そのアスナビのような価値観が世界に広がっていくための土壌を作っていくのは、もしかしたら僕らの仕事かもしれないな、と。

<次のページへ続く>



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