ツルのひとりごと(コラム)

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Vol.18 ルーティン

ルーティン、ラグビー・五郎丸選手の、プレースキックでゴールを狙う前に必ずする手を合わせて祈るようなポーズで、広く知られるようになった言葉である。といっても特別な言葉ではなく、日本でもルーティンワークなどと日常でも使われている言葉でもある。

英語のroutine は辞書によると、(いつもの)小(ine)道(route)で、決まってすること、日課、いつもの手順、所定の順序、となっている。(いつもの)がどこから来たのかは不明だが、そのまま紹介しておく。

五郎丸は、メンタル面で日本代表をサポートしている荒木香織さんから指導を受けて、このやり方をしているのだが、きちんと手順を経て身に着けていかなければ、誰でもこれをすればゴールが決まるというものではない。そしてキックの技術の正確性とパワーがなければ、いくら祈ってもゴールにつながらないのは当然のことだ。身に着けた技術とパワーを強いプレッシャーのかかる中でも発揮できるよう、心理的な自己コントロールにこのいつもの手順をとっているのである。

こうしたルーティンは、誰でも日常生活や行動の中で、いつものようにやっているものでもある。朝起きて何をするか、靴を履くときにどちらから履くか、通学通勤の方法、などほとんどの日常的な行為は、ルーティン化されているといってもよい。それによって、いろいろ考えたり気を遣わなくても、いつものように生活のリズムが刻まれて、スムーズに毎日を過ごしていけるのだろう。

しかし、スポーツ選手として世界に挑戦していこうとか、研究者として未知のことを明らかにしていこうというような人たちにとっては、いつものように毎日を過ごしていては新しい道は開けてこない。研究や競技への取り組みへの思考、手段や方法がいつも同じでは、それはルーティンというよりマンネリズムというべきだろう。

競技でも研究でも、ルーティンとしていつもどおりに坦々と進めていく部分も必要だが、同時に、より高みへと進むためには何をどう変えていくのが良いのかをよく考えて、そのための手段、方法に取り組んでいかなければ、変化や向上は起きないだろう。その時には一人で考えるのも重要だが、指導者や先輩、仲間たちの助けを借りることも必要だろう。といっても、指導者のいうがままになるというのではなく、自分の意見はしっかり発言して、納得したうえで取り組むべきだろう。変化していくのは自分自身なのだから。

(このコラムは、平成28年6月に発行したYMFSスポーツチャレンジ助成会報誌Do the Challenge Vol.16に掲載された内容を転載したものです。)


 

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