中間報告会

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2018年10月12日

平成30年度 第12期生スポーツチャレンジ助成 第3回中間報告会を実施しました

平成30年度 第12期生スポーツチャレンジ助成 第3回中間報告会

10月12日(金)、御茶ノ水トライエッジカンファレンス(東京都)にて平成30年度 第3回目の中間報告会を実施しました。体験チャレンジャーの松下朝香さん(サッカー/審判)と三島廉さん(カヌー・スラローム/選手)、研究チャレンジャーの阿藤聡さん、江間諒一さん、岡井理香さん、そして玉井奈緒さんの6名が参加。それぞれが上半期のチャレンジ状況を報告するとともに、下半期の活動予定について発表しました。また、インドネシアで開催された第18回アジア競技大会のボウリング(マスターズ)で女子日本勢初の金メダルを獲得した第11期生OGの石本美来さんが結果報告に来てくださいました。

報告会終了後には、第1回同様、市村志朗先生(東京理科大学)をファシリテーターに迎え、第4回中間報告会に参加するチャレンジーも加わって、心・技・体の「体」に着目し、「スポーツを実践している時の体」をテーマに座談会を開催。研究者とアスリート、それぞれが考え、感じている「体」について発表しました。その後はグループ内外で意見を共有して整理し、理解を深めあう活発な議論が行われ、チャレンジに活かせる気づきに結びついたようです。

参加いただいた審査委員

浅見俊雄委員長、伊坂忠夫委員、遠藤保子委員、北川薫委員、福永哲夫委員、増田和実委員 (五十音順)


玉井奈緒さん(研究)

「褥瘡、いわゆる床ずれと言われるものは、骨の部分に外力がかかり、そこに挟まれた皮膚の血流が低下、あるいは停止することで皮膚が阻血性障害を起こしてできます。つまり圧が重要なキーワードです。ところでなぜ車いすバスケットボールと褥瘡かと言いますと、車いすバスケットボール選手は、長時間の着座や移動、急激なストップ&ダッシュやターン、リバウンドにシュート時の伸び上がりと着地、またプレーヤー同士の激しい衝突など、臀部に強い圧迫、摩擦とずれが生じ、褥瘡発生のリスクが高いのです。これまでに褥瘡の深さや圧力との関係は十分に解明されておらず、競技中の皮膚への圧迫の状況と皮膚が受けているダメージとの関係を明らかにすることにより、褥瘡予防ケアを確立。褥瘡発生率を抑え重症化を予防し、それに伴い車いすアスリートのパフォーマンス向上、ならびに競技レベルアップが狙いです。今回、日本車いすバスケットボール男子日本代表選抜メンバーの協力を得て、競技時の座圧の測定や臀部の皮膚のダメージの変化などを測定していきます」

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三島廉さん(選手)

「4月の日本代表選考会でカヤックシングル(K-1)・カナディアンシングル(C-1)共に日本代表ナショナルAチーム、U23日本代表Aチーム、アジア大会カナディアンシングル日本代表に選ばれました。
4月〜8月のワールドカップでは、基本に戻りミスをせずペナルティをなくす漕ぎで、タイムが安定してきました。しかし後半の試合ではミスが目立ちました。C-1で4位となったアジア競技大会(インドネシア)、世界選手権(ブラジル)、そしてワールドカップと試合日程がタイトで長距離移動等により体調を崩してしまい、コンディション調整が大きな課題となりました。また今季はK-1・C-1と2種目出場したことで試合経験が増え、コースのライン取りがうまくできるようになりました。
11月から12月はオリンピック代表選考事前強化合宿に参加。スペイン、スロベニアにも行き、人工コースで外国人コーチに指導を受け、技術・体力向上を図ります。また冬季は、クロスカントリー等で体力強化を行い、2月、3月はオーストラリアの強化合宿で代表選に向けて強化していく予定です」

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阿藤聡さん(研究)

「私が着目しているのは骨格筋とレジスタンストレーニングです。骨格筋はあらゆる身体活動に必要不可欠であり、大きさに比例して出せる力が大きくなることから、骨格筋の量を増やしたり、維持することがスポーツ競技やそれ以外のあらゆる身体活動において大事と言われています。その骨格筋の量を増加させたり改善させる手段が、重い負荷を用いたり、マシンを用いて筋肉を大きくするようなレジスタンストレーニングと言われる運動です。
骨格筋の中には無数に髪の毛ぐらいの細さの細胞が束状により集まっており、細胞を構成しているタンパク質が運動すると増加するので、トレーニングを繰り返すと骨格筋のサイズが大きくなると考えられています。骨格筋はまた一本の細胞の中に非常にたくさんの核が存在し、筋繊維の太さと核の数が相関していることから、核をたくさん持っている人の方が運動した時に運動効果を得られやすいのではないかと考えました。そこでまずは核の視覚化と、運動によって合成されたタンパク質の検出手法を確立。レジスタンストレーニングによってどのように骨格筋が増え大きくなるのかのメカニズムを明らかにすることで、トレーニングの新たなスタンダードを生みだし、全く新しい栄養処方を確立できると考えています」

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岡井理香さん(研究)

「アスリートは選手として、また人として、二重性を持ったキャリアを積んでいかなければなりません。本研究はその二重性をサポートするため、日本のジュニアアスリートの育成環境に導入可能なプログラムを提案・実施することを目的としています。中学生アスリートによる自己評価とライフスキル調査の検証によると、目標設定のスキルは、コミュニケーションや社会規範、問題解決のスキルと密接に関連している一番重要な項目であるにも関わらず、スキルとして一番低いことが明らかになりました。この目標設定のスキルは目標や課題を明確にするだけでなく、目標達成のための努力や成果の実感にも影響を及ぼすもので、目標設定に問題があるのは、そもそも目標が可視化できていないのか、あるいはそれを適切に設定できていないのかなど、アスリートが何につまずいているのかを詳細に検討。これらをもとにスポーツで培った力を人生における PDCAサイクル習慣として生かすためにどのようなサポートが必要かを探っています。ただし評価方法が難点。短期的ではなく人生において、スポーツに取り組んだことでPDCAサイクルがどのように活かされて行くかということを実際に検証・立証することが難しく、他領域の専門家と検証していく必要があると考えています」

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松下朝香さん(審判)

「世界で活躍するサッカー審判として2020年オリンピック、2023年女子ワールドカップに参加し決勝の舞台に立つことを最大目標とし、サッカーへの理解、体力、語学、表現力、人間力の向上を目的としました。国内なでしこリーグや、8月のアジア競技大会で主審を務めるほか、6月から約3ヵ月間イングランドに留学。プロリーグ審判員のカンファレンスやトレーニングキャンプに参加。さらに女子1部リーグでは、アジア人で初めて主審のアポイントをいただくなど、良い経験を重ねました。イングランドは日本に比べてはるかに縦に速い試合運びで、それに対応したフィジカルとポジショニングを意識してできるようになりました。また激しいフィジカルコンタクトにも目が慣れ良い判断ができるようになりました。さらに重要なエリアでより近く、より正確な判定を行うことができ、選手や観客からも信頼を得ることができました。徐々に試合にもなれ、主審として試合をリードできるようになりました。今後は英語によるコミュニケーション術やマネジメント術を向上させていきます。なお、留学帰国二日前に右膝を損傷。2019年は2020年オリンピックや2023年女子ワールドカップの候補者選考の年として非常に重要なので早期復帰を狙ってがんばります」

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江間諒一さん(研究)

「加齢によって瞬発力とバランス能力が低下するのはなぜか、といったことを足関節底屈筋に着目して研究を進めています。足関節底屈とは、つま先立ちする力ですが、若年者に比べて高齢者は半分程度しかないと報告されています。そしてトレーニングで足関節底屈における瞬発的な筋力を改善したところ、立位バランス能力にも改善が示唆されるような結果が得られており、底屈筋力とバランス能力との間に因果関係があるということがだんだん分かってきました。この足関節の底屈を生み出すのは、ふくらはぎにある下腿三頭筋で、下腿三頭筋は腓腹筋とヒラメ筋という筋肉から構成されています。腓腹筋は遅筋・速筋線維がほぼ半々、一方ヒラメ筋はほぼ遅筋線維で構成されていて、加齢によって衰えやすいのは遅筋線維よりも速筋線維であるということがよく知られています。そこで足関節底屈筋の腓腹筋、特に速筋線維の機能低下が底屈における瞬発的な筋力と立位バランス能力の加齢変化をもたらす要因であるという仮説を立て、検証することにしました。筋繊維組織の観点から瞬発力・バランス力の加齢変化のメカニズムを解明できれば、転倒して寝たきりになる高齢者の負の連鎖を断ち切り、高齢者のスポーツ推進振興に貢献できると考えています」

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石本美来さん(選手・OG)

「第18回アジア競技大会ボーリング競技に参加してきました。本大会から分かりやすい採点方法、新しいカレント方式が導入。大会結果としては各国2名ずつ上位16名によるマスターズ戦にて優勝し、金メダルを獲得できました。
勝因は、まずリスタイというサポーターから手首の保護が強いメカテクターへの変更です。アジア競技大会直前の世界ユース選手権にて今のスタイルでの限界を感じたため、怪我のリスクや急な変更への不安もありましたが、短期間で猛練習を積み、回転数や球威を上げられるメカテクターをつけることを決断。これが功を奏し海外のタフなコンディションに対応することができました。次に自分のスタイルを貫いたことです。点数に固執することなく、今のできることを精一杯やり抜けば、必ず結果はついてくると信じて投球しました。最後に4スタンス理論の習得です。自分にあった投げ方をすることで、体が自然に連動し、力がスムーズに伝わってパフォーマンスが向上しました。
今後、反復練習により投球の再現性を高め、メカテクターでの投球の引き出しを増やし、2019年8月に開催される世界選手権でメダルを獲得、国内大会では2月の大学個人選手権で前人未到の4連覇を目指します」

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