中間報告会

半期の活動発表、人材交流と学びの場
 2016年10月14日

平成28年度 第10期生スポーツチャレンジ助成 第4回中間報告会を実施しました

平成28年度 第10期生スポーツチャレンジ助成 第4回中間報告会を実施しました

10月14日(金)、御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンター(東京都)にて平成28年度 第4回目の中間報告会を実施しました。この日、報告を行ったのは、体験チャレンジャーの池田 樹生さん(障害者スポーツ・陸上/選手)、木村彩恵子さん(スノーボード/選手・指導者)、辻沙絵さん(障害者スポーツ・陸上/選手)、研究チャレンジャーの平岡 拓晃さん、藤井慶輔さん、藤林献明さん、そして外国人留学生奨学金の金多允さんの合わせて7名。それぞれ上半期の活動を振り返るとともに、自ら掲げた目標の進捗や取り組みの課題を確認・報告しました。

報告会終了後の座談会では、「チャレンジをより高めるための心の持ち方、高め方」というテーマでグループディスカッションを行いました。まず、チャレンジャーが自らの経験を踏まえてそれぞれの意見を語り、それらの考えに対して審査委員の先生方が助言を行うなど、活発な意見交換が行われました。








参加いただいた審査委員

浅見俊雄委員長、伊坂忠夫委員、影山一郎委員、川上泰雄委員、北川薫委員、草加浩平委員、高橋義雄委員、増田和実委員、村田亙委員(五十音順)


平岡 拓晃さん(研究)

先行研究によって、柔道選手の多くが減量の経験やその失敗体験を持っていることがわかっている。またその失敗は競技パフォーマンスに大きな影響をおよぼしているものと考えられる。パフォーマンス低下の背景には、急速減量による不適切な脱水症状があると考えられることから、その状態を簡便かつ正確に判定する方法を確立したい。その判定方法には血液検査や尿検査があるが、いずれも柔道の現場にはフィットしない。そこで私は唾液に注目し、合宿を行う選手の唾液の浸透圧とタンパク質を用いて脱水状態を評価した。今後はその解析に取り組むとともに、研究に協力してくださった選手や指導者をはじめ、パフォーマンスの向上をめざす柔道の現場で活用される知見をフィードバックしていきたい。

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池田 樹生さん(障害者スポーツ・陸上)

目標としていたリオパラリンピックに出場するためには、(1)標準記録を突破する、(2)世界ランキング8位以内に入る、(3)リレー枠での出場、(4)バイパルタイト招待枠での出場という4つの方法があるが、残念ながらそれらの条件を手にすることはできなかった。2020東京大会をめざしてまた一歩一歩進んでいきたい。パラリンピックイヤーの今シーズンは、IPC公認大会で200mの自己ベストを更新(25秒67/世界ランキング26位)し、400mでは日本新(57秒40/世界ランキング8位)を記録した。今後は義手と義足を使いこなすため、右半身のリハビリと身体強化を図り、シーズンを通じた記録のアベレージを上げていくことに取り組んでいきたい。

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藤井 慶輔さん(研究)

たとえば大学対プロ、日本対世界といった高い競技レベルの相手と戦う際に生じる「フィジカルの壁」の正体を明らかにしたい。速さと上手さを兼ね備えた選手でも、相手選手の激しさや力強さでプレーを失敗することがある。私はこうしたシーンを見て、「壁」は加速度に関係あるのではないかと考えた。そこで実際のバスケットボールのゲームで加速度計を用い、大学選手の対・大学、対・プロにおける動きの激しさの違いを明らかにしようとしている。現在までに各種測定を終えて、移動距離や速度、心拍等の分析プログラム作成も完了した。その分析結果は12月に開かれる日本バスケットボール学会で発表する予定でいる。また、大学バスケットボール部の強化の現場での活用をめざした「動きの激しさ」のモニター・評価システムの開発にも着手する。

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木村 彩恵子さん(スノーボード)

カナダにおけるスノーボード指導の最高資格「CASI4」の取得にチャレンジしている。現在はカナダのスノーボード専門学校に通い、充実した日々を過ごしている。6月までは語学の向上やフィジカルトレーニングが中心だったが、7月からは雪上でのフリースタイルのトレーニングや、スノーボードを理論で学ぶ座学も始まった。カナダのゲレンデは、起伏が大きく整備も非常に大雑把。そうした中で滑り込むことで身体的にも精神的にもタフになったと感じている。とは言え、英語に自信が持てなかったことでまだまだ自分の中に消極的な部分がある。年が明けると資格取得に向けたトレーニングが本格化する。また当初予定になかった北米の大会にも出場しようと考えている。さらに積極的な姿勢で取り組んでいきたい。

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藤林 献明さん(研究)

2020東京五輪の男子三段跳において、日本人選手によるメダル獲得を目標として、トップアスリート支援型の研究を行っている。現在の日本人選手の状況は、世界から大きく突き放されているわけではない。むしろわずかだが差を詰めつつある状況だと捉えている。予選で敗退して勝負はさせてもらえなかったが、(3大会ぶりに)リオ五輪に2名の選手が出場したことも前進だと考えている。4年後にメダルを獲得するという非常に高い目標を実現するためには、飛躍的な成長をしていかなければならない。そのために、新たな展開として超高負荷型トレーニングの実証実験を進めるなど、日本の三段跳びを変えていくという意気込みであきらめずチャレンジしていく。

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金 多允さん(外国人留学生奨学金)

スポーツ医学分野で優れている日本で知識を得て、将来母国でその知識や経験を活かしたいと考えている。現在、筑波大学大学院で「下肢キネマティクスとランニング障害の発生の関連性」の研究を行っているが、今年は追加実験を行うこと、日本語能力試験のN1に合格すること、それから学会発表と論文の執筆・投稿を目標に掲げた。追加実験を無事に終え、N1試験にも合格し、9月には第71回体力医学会で口頭発表を行った。また、11月には韓国で開かれる国際学会で発表を行うため抄録を提出したところ。多くのスポーツ種目にはランニングの要素が含まれており、またそうした中で多くの選手がランニング障害を経験し、悩んでいる。その原因や発生メカニズムを明らかにすることに寄与して、スポーツ、そしてスポーツに親しむ人たちの生活に貢献していきたい。

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辻 沙絵さん(障害者スポーツ・陸上)

たくさんの人たちに支えられて目標としていたリオ五輪に出場し、メダルを獲得することができた。限られた時間の中で、主に義手の使い方とフォームの改善、そして400mを主眼に乳酸耐性トレーニングを重ねてきた。結果は100mで7位(13秒30)、200mで7位(27秒97)と目標だったファイナルに進出し、400mでは銅メダル(60秒62)をいただいたが、3競技とも大舞台で自己記録を伸ばすことができなかった。これまで各種目の予選・決勝が毎日続くような大会を経験したことがなく、想像以上にハードだった印象。また、入賞、メダルとそれぞれの種目で目標を達成できたが、世界トップレベルの力の差も痛感した。今後は全体的なスピードアップはもちろん、課題である右腕の強化や後半の走りを改善していきたい。2020東京五輪で金メダルを獲得するために、これからも精一杯チャレンジする。

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