中間報告会

半期の活動発表、人材交流と学びの場
 2015年10月16日

平成27年度 第9期生スポーツチャレンジ助成 第4回中間報告会を実施しました

平成27年度 第9期生スポーツチャレンジ助成 第4回中間報告会を実施しました

10月16日(金)、東京国際フォーラム(東京都)にて平成27年度 第4回目の中間報告会を実施しました。この日、参加したのは体験チャレンジャーの植野琴さん(スノーボード・アルペン/選手)、内山雅貴さん(自転車ロードレース/選手)、八木愛莉さん(カヌースラローム・カナディアンシングル/選手)、研究チャレンジャーの大岩奈青さん、成田健造さん。体験チャレンジャーの三浦優希(アイスホッケー/選手)と、研究チャレンジャーの鷲谷洋輔さんは、海外滞在中で会場に来ることはできませんでしたが、インターネットを通じて、報告を行いました。

報告会終了後の座談会では、「チャレンジと環境について考える」というテーマで意見交換を行いました。まず、チャレンジャーが自らの経験をもとに意見を語り、また、審査委員は、その意見に対して疑問やアドバイスを行うなど、参加者全員で活発な議論を行いました。



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参加いただいた審査委員

浅見俊雄審査委員長、杉本龍勇審査委員、増田和実審査員(五十音順)


内山 雅貴さん(自転車ロードレース/選手)

今年はラ・ポム・マルセイユから、ノルマンディへ移籍。日本人監督から離れ、フランス人チームに溶け込み、最も自転車熱の高い地域で自分の覚醒を目指した。まずシーズンの序盤は、フランスで優勝するなど結果を残せたが、その後は10位前後と満足な結果を残せずフラストレーションのたまる日々を過ごすこととなった。その中で、昨年からフランスで65レースを戦い、経験値、技術、戦術などを多く学んだものの、本当の資質はなにかを考えるようになった。こうして出した結論が、トラック競技への挑戦であり、自分の持ち味はスプリント力であると確信した。今後は、このスプリント力を引き上げることを念頭に、トラック競技での代表選出を目指すとともに、11月の全日本実業団、来年4月の全日本トラックでスプリント力を磨き、その後のロードシーズンに備えたい。

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大岩 奈青さん(研究)

本研究は、カヌースラローム日本代表選手である羽根田卓也選手に、トレーニングやコンディショニングの計画立案に役立つ生化学的データを提供し、リオ五輪でのメダル獲得に貢献することが目的。そこで、注目したのが筋損傷のマーカーであるクレアチンキナーゼ(CK)。これが、トレーニングや試合を通じてどのように変化するかを確認したところ高い相関が見られたことから、この指標を元に計画策定することを決定した。ターゲットを9月のロンドンで行われる世界選手権とし、まずは2回に及ぶロンドンでの事前合宿でモニタリングを実施し、本番に向けたベースとなるデータ取りを行った。想定していた数値と異なるものもあったが、本番に向けて調整を行い、本番直前のコンディショニングに用いた。結果は15位と、本人としては納得の結果を残せなかったが、リオ五輪出場を決定できたため、今後はメダル獲得に貢献できるよう、五輪に向けさらに精度を高める必要があると考えている。

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植野 琴さん(スノーボード・アルペン/選手)

4月に全日本選手権などの大会があったが、そこではミスがあり結果を残すことができず、技術面、精神面の弱さを痛感させられた。その後は、5月に志賀高原、6月はイタリア、9月はニュージーラインドと遠征を実施。特にイタリアでは滑りを1本ずつチェックしてその場で修正するなど、効果的なトレーニングができた。また、フィジカルトレーニングにおいても、何のためのトレーニングかを意識することで効果を実感できた。9月の遠征では、ターン再現性、感覚系スキルの向上に取り組み、コース状況を見てターン数や最適な滑りを具体的にイメージし実践できるようになってきた。こうした一方で、考えることも意識し、課題は何か? 理想のイメージとは? 自分に大切なことは何か? など、常に自問自答して、行動するようにしたことで、効率期な練習、トレーニングに取り組めた。今後は年内に欧米へ、来年は国内に拠点とし、ここまでの成果をレースの中で確認していきたい。

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成田 健造さん(研究)

水泳では、前方に推進するという目的を達成するため、泳者は体内でエネルギーを生成、それを前方に推進するためのエネルギーに変換するが、この変換過程を評価したのが効率である。しかし、前方に推進する泳パワーは測定がとても困難で、現存する測定方法も、様々な制限のもとで計測されている。そこで、すべての泳法に応用が可能で、泳技能を反映する新たな泳パワーの測定法の開発が必要だと考え開発に着手した。方法論としては、回流水槽を用い、推進力と抵抗力が拮抗した状況から、抵抗力を低く、または強くして泳者が前後する状況を作り、泳者を前後からけん引することで、推進力と抵抗力の差から見える力を計測するものとした。データ自体は取得できたが、正確性に問題が確認されたため、現在は改善策を検討し、それを実施している。今後は新たな方法論の信頼性を検証し、さらに競技レベルと泳パワーの関係性についても検証していこうと考えている。

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八木 愛莉さん(カヌースラローム・カナディアンシングル/選手)

カナディアンシングルは、男子はすでにオリンピックの正式種目になっているが、女子は東京から正式種目となる新しい競技。ヨーロッパには多くの人工コースがあり、コーチング・トレーニングシステムが整っているが、日本はコースがなく、指導者もいない状況。そこで欧州挑戦を決め、6月から初のスロバキア遠征を開始した。当初はコーチの問題やボートの移動など多くの困難があったが、YMFSのOBの羽根田選手やスロバキアの友人の助けを借りながら準備を整え、7月から本格的に活動をスタート。その後は、チェコやポーランドでの合宿、技術、フィジカルトレーニングで基礎強化、慣れない人工コースでの試合形式の練習を行い、試合スタイルの構築に努め世界選手権へ臨んだ。結果は38位と悔しいものになったが、東京に向け多くを学ぶができた。また、スロバキアでの経験は全て記録しているため、もう一度振り返り、日本でも実践し、さらなる高見を目指す。

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鷲谷 洋輔さん(研究)

エスノグラフィーとは、単純にいうと「人間が活動を書き出していくというアプローチ」である。ただ、それを文字に書き出すのではなくドキュメンタリー映画のようにフィルムを使ってやってみようというのがこの研究の独自性となる。また、学問とは基本的に、記述、記号に基づいているが、それをまったく異なるアプローチで捉え直したいというのが私のチャレンジである。そのため本研究では、柔道の技の学習に着目し、技の名前が分からない、または言葉が通じない状況の中で、どのように技が学ばれているのかを研究の対象に据えた。前期はデータの収集を行ったが、子どもを対象とした柔道の合宿に密着、練習風景、食事風景など、生活全般にカメラを向けた。続いて歴史資料の収集では、日系カナダ移民による漢字と挿絵で構成された柔道の教科書などを見つけることに成功。今後は、これらがどう使われたかを検証していく。また、今後も柔道の先生や、視覚だけでなく触覚を通した学びに踏込むために視覚障害へのインタビューなどを計画している。

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三浦 優希(アイスホッケー/選手)

今シーズンは、ジュニアではなくシニアチームで、シーズンオフに臨むこととなった。ウエイト、球技、短・長距離走など、様々なトレーニングを行い、7月から氷上練習がはじまり、本格的なトライアウトがスタート。NHLのスーパースターである選手とも練習することができ、パスやシュートなど、本当に多くのことを吸収できた。その後、練習試合に3試合ほど出場したが、ポイントを残せず、目標だったシニア残留は逃してしまった。9月からのシーズンでは、現在までに11試合を終え13ゴール、5アシストの計18ポイントでリーグ2位の成績にある。昨年と違い、今年は序盤からポイントを多く獲得でき、とてもよいスタートが切れた。今後の目標としては、プレーオフ出場を確実に決め、リーグ優勝が目標。また、個人としてはポイントランキング1位を獲得し、リーグ優勝に貢献することだが、シニアチームへの昇格すること、日本代表に招集され五輪の一次予選メンバーに入ることを目指しているため、これからも気を抜かず、全力で戦っていきたい。

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