中間報告会

半期の活動発表、人材交流と学びの場
 2013年9月9日

平成25年度スポーツチャレンジ助成 第1回中間報告会を実施しました

平成25年度スポーツチャレンジ助成 第1回中間報告会を実施しました

9月9日(月)、東京国際フォーラムにて平成25年度 第1回目の中間報告会を実施しました。今回は、体験チャレンジャーの小林由貴選手(第7期生・スキー/クロスカントリー)、田中幸太郎選手(第7期生・レスリング)、日置千耶子選手(第7期生・スキークロス)、海外留学生奨学金の言上智洋さんが出席しました。

2014年2月に控える第22回オリンピック冬季競技大会(2014/ソチ)出場をめざす小林選手、日置選手からは、代表の選考がかかるワールドカップに向けたこれまでの準備と今後の強化ポイントなどの報告があり、それぞれが代表権の獲得とソチでの活躍に向け順調に計画を進めていることがわかりました。また、田中選手は今年2月に行った膝の手術の影響もあり、シーズン前半は思うような成果を残せなかったことから、ステップアップのため当初の計画を見直し、海外遠征などを進める計画を発表しました。イギリスから帰国し、今回の報告会に参加した言上さんは、今後ポルト大学(ポルトガル)で予定している実験の内容や準備の状況、海外だからこそ得られたさまざまな経験について報告がありました。

報告会の終了後には、浅見俊雄審査委員長をはじめとする審査委員とともに、「道に迷った時、壁に当たった時」というテーマで座談会を実施しました。最初は「ケガの克服」が話題の中心でしたが、大きな成長を遂げる=壁を越えるには、「どのような考え方を持ち、どのようなレベルの練習が必要なのか?」、「自分を変えるだけでなく、自分を取り巻く環境を変える技術が必要」。また、競技や研究に打ち込み、極限まで集中するために「自分を変身させるスイッチを持つ」など、審査委員から多くのアドバイスがあり、チャレンジャーたちはあらためて競技や研究に打ち込む姿勢を見つめなおす機会になったようです。





参加いただいた審査委員

浅見審査委員長、伊坂審査委員、遠藤審査委員、小西審査委員、草加審査委員、杉本審査委員、ゼッターランド審査委員、高橋審査委員、西田審査委員、村田審査委員、事務局


小林由貴選手(第7期生)スキー(クロスカントリー)/選手

ソチへの派遣基準が5月に発表され、世界レベルの大会で「8位以内が1回」「10位以内が2回」「12位以内が3回」のどれかをクリアすることとなった。現状では厳しいが、それを乗り越えるため、全日本トップクラスのパートナーを確保して切磋琢磨できる環境を作ったほか、海外遠征を積極的に行った。遠征ではまずイタリアに渡り、日本人が苦手とするダブルポール(脚を使わず両腕で移動する走法)の強化に取り組んだ。続くフランスでは力を効率よく発揮するための体の動き方など、細かなテクニック向上を行い、昨年のワールドカップ総合優勝の選手が来るということで選んだニュージーランドでは、レースへの出場とともに、強い選手から多くの刺激をもらうことができた。

こうして臨んだ国内のローラースキー大会では、昨年を大きく上回る成績を残すことができ、十分な成長を感じることができた。それでも、コーナーワーク、マックススピード、コンディショニングなどの課題が見えてきたので、勝負となる12月のワールドカップまでに海外遠征などで改善していきたい。

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田中 幸太郎選手(第7期生)レスリング/選手

JOCのトップアスリート就職支援ナビゲーション「アスナビ」により、今年の4月に阪神酒販株式会社に就職した。正社員として週2日の業務を行いながら、残りを競技に当てるという恵まれた環境を確保できた。シーズン前半は、明治杯での優勝、世界選手権出場、そしてユニバーシアードでの優勝を目標においていた。そのために、前腕や握力のアップ、身体の使い方などを養うため、新しくクライミング、ボルダリングを練習に取り入れたり、ルール変更への対応に取り組など、最善を尽くしてきた。しかし、2月に膝の手術を行い、そのリハビリに多くの時間を使うこととなり、実践練習が不足したこともあって思うような成績を上げることができなかった。

また、ユニバーシアードでの外国人選手との対戦では、ラフな戦い方に戸惑う部分もあり経験不足を感じたことから、今後は海外遠征を計画している。12月には天皇杯があるが、そこまでには体調も整え、得意技の追求なども行って、優勝を狙いたい。

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日置 千耶子選手(第7期生)スキークロス/選手

1月に膝に怪我を負ったため、その機能回復をはじめ、反射を利用できる身体作り、骨を自在に動かせる能力を取得することを念頭にトレーニングを重ねた。具体的には股関節のインナーマッスル強化、股関節中心の運動方法の取得、体幹強化などを行った。その結果、予定していた8月より2ヵ月も早い6月に雪上復帰を果たし、6月からは低速での走行練習を始め、7月に高速走行へ、8月は大回転のトレーニングに移行し、現在は基礎練習で固めてきた滑り方を高速の中で行う、応用するというレベルに入った。まだ、大回転では動きが小さく満足できるレベルではないが、順調に推移している。

この後はスイスでアルペントレーニングを1ヵ月間行った後、クロスコースでのトレーニングに移行して、11月にはスイス、カナダのナショナルチームとともにトレーニングして、12月のワールドカップに臨む。

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言上 智洋さん(海外留学生奨学金・第7期生)

私のテーマは背泳ぎとクロールにおける推進メカニズムを解明し、それをもとになぜクロールが背泳ぎよりも速いのかを探り、最終的には最速の泳ぎを探求するというもの。現在は2つの実験を計画しており、ひとつは、動作分析とともに、選手がどれくらいのエネルギーを使用しているかを解明する実験。ふたつ目は、動作分析を掘り下げながら、陸上における水泳の動作に近い動きによる筋力の発揮測定を行う。

上半期は、この実験に向けた準備を進めるとともに、スコットランド水泳連盟が実施する代表チームの測定に協力したり、スペインでの国際学会に参加し、自分のプロジェクトに近い研究に取り組んでいる方とコミュニケーションをとったり、最新論文を獲得するなど、いろいろな経験ができ多くの収穫があった。9月中旬から実際にポルト大学で実験を開始し、実験後は分析のための準備と、来年4月の学会に参加するためのデータをまとめようと考えている。

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