クローズアップレポート

山下 はるな

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山下 はるな

トランポリン/選手


あの失敗は、もう二度と繰り返したくない。絶対。
~ロンドン五輪出場権を逃し、悔しさからのリスタート~

目標のロンドン五輪出場権を逃す

ロンドンオリンピックに派遣される女子トランポリン日本代表選手は、今年11月に開催される世界選手権出場4選手の中から選考されることになっています。つまり、山下はるな選手(静岡産業大学)が夢・目標として掲げてきたオリンピック出場を果たすためには、前提として世界選手権の代表に選ばれなくてはなりません。

その代表選手を選考する「第20回世界選手権大会最終選考会」が、7月28日、山形県で開催されました。この選考会には山下選手を含む国内の有力7選手が出場し、上位3選手に世界選手権への出場権が与えられます(注:すでに1人は決定済)。 「直前に行われたワールドカップの川崎大会では、緊張による大きなミスをしてしまいました。その反省から、選考会までの3週間はできる限り本番に近い環境で練習を重ねた結果、精神的にも身体的にも良い準備ができたという自信がありました」と山下選手。実際、会場に足を踏み入れても必要以上の緊張を感じることなく、ウォーミングアップでも「身体がよく動いている」と感じていたそうです。

そして迎えた予選1本目。「減点されない演技」を意識してベッド(トランポリン台)に立ったという山下選手が演技の中盤でやや姿勢を乱したのに対して、ライバルたちは相次いで高得点を記録。この結果、山下選手は6位と大きく出遅れてしまいました。

「自信があっただけにショックも大きかったのですが、次の演技までの短い時間で気持ちを切り替えなくてはなりませんでした。コーチも“大丈夫、まだ挽回できる。お前ならやれる!"と強い言葉をかけてくださって、やれることだけを精一杯やろうという気持ちになれたのは成長の一つだったかもしれません」

そして迎えた2本目。ここで会心の演技を披露した山下選手は、本人も納得する高得点を叩き出して上位に接近。また3本目となる決勝でも、全体で2位となる素晴らしい演技を披露したのです。「追い込まれても、不思議と“失敗するかも"というような消極的な気持ちにはならなかった」と振り返る山下選手は、こうしてすべての演技を終えたのでした。

しかし、選考会の順位は、予選2本、そして決勝1本の総得点で決められます。山下選手は1本目のミスを埋めるべく思い切りの良い演技で追い上げを見せたものの、3位にわずか1.615ポイント届かず4位が確定。この瞬間、山下選手が目標としてきたロンドンオリンピック出場への道が閉ざされたのでした。

新たな目標に向けて助走を開始

あの選考会から1か月――、静岡産業大学の体育館に山下選手を訪ねました。

「選考会の翌日からは、一緒に練習している仲間たちにとって大切な大会や検定が続いたので、私が落ち込んでいる姿をみんなに見せてはいけないと気を張ってこらえていました。今振り返ると、その時間があったのがかえって良かったのかもしれません。選考から漏れた時の気持ちをうまく表現できないのですが、とにかく静岡に戻った翌日から普段どおりの練習を再開しようと決めました」

そんな山下選手に今後の進路や目標について尋ねてみると、「はい、帰ってから間もなく“2016年リオ五輪をめざして頑張らせていただきます"と監督やコーチ、それから両親にも話しました。“よし、じゃあまた一緒に頑張ろう"と言っていただけたのが本当に嬉しかった」と目を潤ませながら、それでも笑顔で振り返ります。

こうして新たな目標を掲げ、早くもその助走を開始した山下選手。現在は課題として挙げる難度点の向上を目標に、新技・3回宙返りの習得に励んでいます。「去年あたりからは大きな大会が続いたので、すでに持っている技の精度を高める方向に絞って練習を重ねてきました。ですから新たな技に挑戦している今は毎日の練習が新鮮ですし、トランポリンを心から楽しいと感じられます」と目を輝かせます。

新たな4年、そのチャレンジのスタート。現在大学3年生の山下選手が卒業後にも競技を続けていくためには就職活動や練習環境の確保など、さまざまな問題を一つずつ解決していかなくてはなりません。「同じ失敗はもう二度と繰り返したくない。絶対。これからは一年一年が今まで以上に難しくなると思いますが、毎日毎日を頑張って切り拓いていきたい」と話す山下選手が抱えるバッグの中には、悔しさを忘れないためのお守りとして「第20回世界選手権大会最終選考会」の公式結果が入っていました。



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